僕が日頃から最も利用している(依存しているかもしれない)SNSはX(旧Twitter)で、タイムラインを毎日眺めていると若いライダーたちのポストもよく流れてくるので、若い人たちもバイクによく乗っているイメージがある。
しかしながら、いざツーリングに出かけて道の駅やコンビニ、ライダーズカフェなど、とにかくバイクがよく集まる場所に行くと若いライダーの姿はほぼ見られなく、そこにどんよりとした空気感を醸し出しながらたむろしているのはオジサンライダーばかりなのだ。
「あ!あのバイクかちょええ〜!」と思っても、ヘルメットを取るとオジサンで、バイクから降りるとでっぷりとした腹が目立つし、バイクはカッコよくても服装はダサいし・・・と、自分のことを棚に上げときながら残念な気持ちになっている。
SNSで見かけるキラキラバイク女子は都市伝説だとしても、普通の若いライダーはどこにいるんだ!と思いながらオジサンライダーの渦に飲み込まれている自分がいる。(自分もオジサンなので仕方ないが)
もう人生の折り返し地点を過ぎたこの先数年から10年ちょっとぐらいしかバイクに乗れないオジサンライダーたちを見ていると今後のバイク業界は先細りしていく一方なんだろうなと、切実に感じている。
ではいったい、若いライダーたちはどこにいるのだろうか?なぜ道の駅などはオジサンライダーの巣窟と化してしまっているのか?僕なりに考察してみた。
オジサンを敵に回すような書き方なので言い訳しておくが、僕もオジサンライダーだし、オジサンライダーが今のバイク業界を支えていると思っているし、バイク好きならオジサンだろうがなんだろうがウェルカムだ。
そもそもオジサン人口が多いんだよ
上の図は総務省統計局が出している2022年10月1日現在の人口ピラミッドで、左が男性で右が女性。この図を見ると誰でもわかると思うが、50歳前後がいちばん多い。そして僕自身も驚いたのだが、49歳の僕の年齢がいちばん多いのだ。
また、20歳前後のグラフに注目して欲しいのだが、50歳前後と比べると目視だがおよそ半分ぐらいの人口しかいないことがわかる。その後25歳ぐらいまで人口が少し増えるが30歳ぐらいまでは横ばいとなり、30歳をすぎるとどんどん人口が増えていき49歳でピークを迎えている。そして75歳ぐらいでまたピークを迎えるが、75歳でバイクに乗っている人はあまりいないと思うので(危険なので乗っていて欲しくない)、この図では20歳前後から65歳ぐらいまでをライダーとして考えてみてほしい。
オジサンと言われる年齢が何歳からかは分からないが、仮に40歳からオジサンライダーだとしよう。40歳以下と比べてその人口の多さはグラフを見れば一目瞭然だ。そりゃオジサンライダーが多くて当然だ。
とはいえ、40歳以上の人口が若い人たち(仮に20歳〜39歳とする)と比べて2倍も3倍も、道の駅をオジサン一色で埋め尽くすほどの人口なのかと言われると、グラフを見る限りそうではない。
オジサン人口が多いことは分かったが、若い人たちと比べて数倍の差があるわけでもない。ではなぜオジサンライダーが道の駅を巣窟化させるほどの数になるのだろうか。
オジサンは孤独
僕は趣味でキャンプもするのだが、キャンプ場に行くとソロキャンプしているオジサンも多い。バイクでもソロツーリングをしているオジサンが多い。
オジサンの年齢になってくると、若い頃より交友関係は狭くなるものだ。仕事上の付き合いはあるとしてもプライベートで友達と呼べる人数は若い頃に比べると格段に減る。地元に住んでいても学生時代の友人は地元を離れて行ったり仕事や家族サービスで都合が合わないことが多い。ましてや地元を離れたオジサンは友達がほとんどいない。
若い頃に比べると自分を含め周りの同年代の友達も、仕事や家庭の事情で何かと都合が合わないことが多いのだ。なのでツーリングに行ける時間があったとしても周りと都合が合わないためソロツーリングとなってしまう。
まず、このソロツーリングオジサンがヒマを持て余して道の駅に集結する。
加えて、1ヶ月前とか2ヶ月前とか若い世代ではなかなか成立しなさそうなほど前から予定を組み、マスツーリングにやってくるオジサンも集結する。各々仕事や家庭、他の趣味の都合もあるので「じゃあ、来週の日曜ね!」という訳には中々いかない。それぞれヒマで孤独な日はあるのだが、複数人集まると簡単には合致しない。
お金と時間に余裕ができるオジサン
一般的に若い頃に比べると収入が増えて、貯蓄もそれなりにあるオジサンが多いと思う。僕にしてもそうだ。20歳そこそこの時なんて貯蓄なんて全然なかったし、その時代のバイクは安かったとはいえ、現金でポンと払えたりローンを組んで買うなんてことが簡単にはできなかった。
対してオジサンになってくるとお金に少しばかりの余裕ができたり、社会的信用を得てローンを組めたりする傾向にあると思う。あくまでも一般的にで、今なお余裕のない庶民の僕にはそう見えている。
だから若い人たちに比べるとバイクを購入しやすいのだろう。大型二輪の免許を取るにしても、教習費用もポンと出せる。
そして、50歳前後の年齢になると子供も成長して手を離れ、妻には相手にされなくなってくるので、とにかく時間にも余裕ができてくる。そうなると一人の時間が増えるので、バイクにリターンする人や、新たに免許をとってバイクに乗るオジサンライダーが誕生するのだ。
この記事を読んでいるオジサンも、自身が30歳前後の時のことを考えてみてほしい。仕事や家庭、友達との付き合いに追われる日々でバイクに乗る時間とお金なんて無かった人が多いのではないだろうか。
僕もそうだ。今は独身貴族を満喫しているが、25歳で結婚して子供も産まれ、仕事も忙しく周りにも友達が多かった。休みの日は家族との時間だし、友達付き合いもしていたし、お金にも余裕なんて全くなかった。その日その日を懸命に生きている感じで、バイクを買ったり乗ったりすることなんて考えもしなかったのだ。
それが48歳になり、少しばかりのお金と時間に余裕が出てきたことでバイク熱が浮上し、めでたくリターンしたのが現在の僕、そう、オジサンライダーである。
結論
タイトルの「なぜ道の駅などバイクが集まるところはオジサンライダーの巣窟なのか?」に対する僕の答えはこうだ。
そもそも人口が多いのでオジサンライダーの占める割合が増え、お金と時間に余裕ができたことによってオジサンライダーが増幅し、ライダー全体の中ではオジサンライダー勢力が拡大している。そのため、道の駅などバイクが集まるところにはオジサンライダーが目立って見えてしまい、巣窟化しているかのような光景になる。
悪いことばかりではない
さて、ここまでオジサンライダーがまるで悪者かのような書き方をしてきたが、悪意は全くないのでお許しいただきたい。僕だってオジサンライダーの一員として胸を張ってバイクに跨っている。
なのでオジサンライダーの良い点も述べておきたい。
前述の通り、オジサンライダーには少しばかりお金に余裕がある。なので道の駅などに行けば、若いライダーに比べるとお金を落としていくと思っているし、そうあって欲しいとも思っている。ツーリングに行けば、行く先々の土地で美味いメシを食い、ガソリンを入れ、それなりの宿に泊まり、その地域の経済にも役立っているはずだ。
バイクを購入するにしても、若いライダーに比べると大型二輪免許の所有率は高いと思うので、高額なバイクを購入し乗っているオジサンライダーも沢山いる。高いバイクウェアやギアなども若いライダーに比べると比較的容易に購入することができるし、バイク業界にも多大なる貢献をしている。
オジサンライダーが存在することで、多少なりとも地域経済やバイク業界に貢献できているのではないだろうか。それが若いライダーの方が多くなれば、話はまた違ってくると思う。安いバイクを買い、安いウェアを着て、安い宿に泊まり、安いメシを食う、これでは日本の経済にとっての貢献度は低いだろう。
また、オジサンライダーがいるおかげで、オジサン好みのバイクやウェアを各メーカーが開発しているとも思っている。
そう、オジサンはお金で貢献をしているのだ。
若いライダーはどこへ?
では、若いライダーたちはどこにいるのだろうか。どこを走っているのだろうか。キラキラバイク女子は本当に都市伝説なんだろうか。
僕が思うに、若いライダーが多いのは、休日の昼間ではなく、平日や週末の夜なのではないだろうか。
仕事や学校で忙しい若いライダーたちは、交通量も少なく快適に走れ、オジサンライダーも集まらない夜に走っているのだと思う。オジサンライダーは目が悪いし、夜は酒を飲むので走らない。
以前、X(旧Twitter)で、ナイトツーリングに魅力はあるのか?とポストしたところ、若いライダーから「夜は渋滞が少なく、快適に走れるので夜の山道を飛ばして走るのは最高です!」といったリプをもらったことがる。
驚いたのは夜の山道は最高ということ。僕なら怖くて走れない。街灯も少ない、暗い山道をバイクで飛ばすなんて恐ろしくて出来ない。これも若さ所以の考えなのだろう。僕には暗く見えても、若いとそこまで暗さを感じないのだろうか。今思えば、僕も若い頃は夜でも平気でバイクを走らせていた記憶がある。
また、以前、夜に神戸空港までバイクで走ったことがある。神戸空港は神戸ポートアイランドを通り越した人工島にあるのだが、そのポートアイランドのコンビニに寄ったら、若いライダーが何台も集まっていたのを覚えている。
もちろん昼間にツーリングをする若いライダーも多いのだろうが、オジサンが出没しない夜にバイクを走らせているライダーも多いのだろう。
最後に
若いライダーが我々オジサンライダーのことをどう思っているのかは正直わからない。鬱陶しいと思っているのか、何とも思っていないのか。
一部、マナーの悪いオジサンライダーもいる。マナーの悪い若いライダーもいる。だからそれはお互い様だと言いたいところだが、そこはせめて年長者であるオジサンライダーが手本となり、若いライダーに示さなくてはいけないのではないだろうか。
道の駅で若いライダーに遭遇した時も、微笑ましく見守り、時には嫌われない程度に言葉を交わし、オジサンだろうが若者だろうが同じバイクを愛するライダー同士、バイク業界を盛り上げていきたいと思う。
ただ、バイク女子には遭遇しても決して話しかけないように注意してほしい。たまたま隣にバイク女子が来ても、挨拶だけにして欲しい。これは僕も肝に銘じている。あわよくば・・・なんてありませんせんから。