ブラジル、地理的には日本の真裏でサッカーやサンバで有名ですが、歴史上、日本とのつながりも強い国ですね。そんなブラジルのバイク市場は販売台数で2023年158万台、そのうちホンダが114万台でシェア72%、ヤマハが28万台でシェア18%と日系二社で90%のシェアを誇ります。そんなブラジルのユニークなバイクたちを覗いてみたいと思います。
遠く広大なブラジル
ブラジルと言えば歴史的に日系移民が多いことでも有名ですが、世界最大の日系人居住地であり、1908年(明治41年)以降の約100年間で約26万人の日本人がブラジルに移住し、現在約200万人以上の日系人が住んでらっしゃるそうです。でも地理的に見れば日本の真裏ですし、遠い国という印象が強いですね。
私も現役時代に何度か出張で行きました。ルートは一般的にはアメリカ経由、ヨーロッパ経由、中東経由などがあります。直行便と名前の付く便でも遠距離の為、経由地で給油する必要があります。
私が利用したニューヨーク経由でも、ニューヨークまで12時間、そこからサンパウロまで12時間、更にブラジル国内を数千キロ移動しました。本当に飽きるくらい飛行機に乗ります。
広大な国ですから国内移動も飛行機が欠かせませんが、ユニークなのは何か所かの空港を経由しながら飛ぶ飛行機もありました。最初の到着地で何十人かが降りて、また新しいお客さんが乗ってくるのです。それを何か所も繰り返します。路線バスみたいなイメージですね。
恐るべしブラジルサッカ-
ブラジルと言えばサッカーが人気です。その強さの理由を垣間見ました。出張時は空港に到着するとまずは事務所まで車で移動しました。進展国などでは信号待ち時に花売りの子供たちが近寄ってきてアルバイトをするのは何度か経験した光景でしたがブラジルは違いました。なんと足台とサッカーボールを持ってきて車の前でいきなりリフティングを始めて、それでお小遣い稼ぎをするのです。サッカー人口の裾野の広さを感じました。ブラジルにはサッカーでは勝てないのではないかと思いました。
サッカーといえばワールドカップですが、ブラジル戦のある日はお休みにする会社も多いようです。特に製造業などでは試合の状況が気になって集中力を欠き品質が安定しないとか。でもそこまで社会としてサッカーが認知されていることに感心いたしました。
またある駐在員の方のエピソードです。奥様がおっしゃるには「お父さん、家のテレビ調子が悪いのよ。サッカーの試合を見ているとチャンスになる前にご近所から歓声が聞こえてくるのよ。家のテレビはタイムラグがあるわ。」と。しかしそれはテレビが故障しているわけではありませんでした。ブラジルの皆さんは試合を観る目も肥えていて、チャンスになることが流れから読めるようで、それで歓声が早く聞こえてくるとのことでした。う~ん、恐るべしブラジルサッカーです。
ブラジルのバイク購入方法
ブラジルにはバイク購入時にキャッシュで支払う人、ローンを組む人の他にコンソルシオというユニークな方法があります。
コンソルシオとは、60人一組で毎月一定金額を積み立てておいて、毎月抽選をして当たった加入者が二輪車の購入代金のファイナンスを受けられるという仕組みです。日本の山梨県の習慣で「無尽」というものがコンソルシオに類似していて、日系ブラジル移民が持ち込んだのではないかと言われているそうです。コンソルシオは、キャッシュやローンと並ぶほどポピュラーで35%の方が利用するそうです。
ユニークなブラジルモデルたち
ブラジルで圧倒的なシェアを持つホンダのラインナップを覗いてみましょう。カテゴリー毎にストリート(15モデル)、アドベンチャー(10モデル)、オフロード(4モデル)、スポーツ(2モデル)、ツーリング(1モデル)、合計32モデルとなっています。
その中でもストリート系の中にブラジルらしさを感じるモデルがたくさんあります。CG160シリーズ、Pop、Bizの3モデルです。まずはCG160シリーズです。
CG160シリーズ
CG160シリーズはStart、Fan、Titan、Cargoと4種類の派生モデルがあります。それだけでもこのモデルの人気が伺えます。各種で仕様装備が異なります。主な仕様差は、燃料がStart以外はフレックスフューエル車(ガソリンでもバイオエタノールでも走行可能)、灯火器のLED化、CBS/ABSの装着、USBポートの装着等に違いがあるようです。またCargoにはカーゴラックとセンタースタンドが備わります。いずれにせよブラジルの代名詞と言えばCG160ということなんですね。
Pop110i
次はPOPです。ブラジルでは最廉価のモデルとなります。まだ開発している時に初めてこのモデルを見ましたが、スーパーカブをネイキッドにしたようなスタイルに驚きました。その後、市場に上市され人気モデルとなっていったのですが、
ブラジル国内を市場調査した時にあるPOPのオーナー様にお会いしました。その方いわく、「今までホンダのモデルが欲しいと思っていたんだが、このモデルで初めてホンダのモデルが買えたんだよ」とおっしゃってました。大きな農場を経営されていましたが、毎日POPで通勤されているとのことでした。このモデルのコンセプトがブラジルにしっかり受け入れられ根付いたことが非常に嬉しかったことを覚えています。
Biz
3つ目はBizです。スーパーカブのような基本レイアウトですが、メットインが特徴です。それもあって後輪のサイズが14インチとなっています。また後輪ブレーキは一般的なスクーターと同じハンドブレーキになっています。なんか日本でも人気が出そうな気がしませんか?
アドベンチャーモデル
アドベンチャーモデルでは、サハラ300とXRE190ですね。サハラ300は空冷300ccのアドバンチャーモデルです。装備もフルLED、ブレーキングアラート、プリローロアジャスター付きリアサスペンション、USB-Cタイプのインプットなど充実しています。これも日本にも魅力的に映ります。
XRE190については、別のコラムで詳しくご紹介していますのでそちらを御覧ください。最新のHPを見るとモデルチェンジをしたようで一層魅力的になっていました。
ヤマハ NEOS
最後にヤマハのNEOS、電動スクーターです。2022年に欧州から発売が開始されているモデルです。満充電で航続距離約37kmを実現しています。ブラジルにもEVの流れが始まっているんですね。
おわりに
まだまだご紹介できないほど沢山あるブラジルモデル、今回はユニークなモデルをいくつかご紹介いたしました。今後もユニークなモデルのある国を巡りながらご紹介したいと思います。