待ちに待ったMoto GP2025が開幕した。わずか数ヶ月の間なのに、久しぶり感がすごいし首をなが〜くして待っていただけに嬉しさも倍増している。
2025年の開幕戦はタイのブリーラム地方にある、チャーン国際サーキットだ。タイでは有名なビールメーカーのチャーンの名前を冠したサーキットだ。タイなら比較的日本からも行きやすいので、いつか観戦しに行きたいと思っている。
オフシーズンの間はXにて情報収集していて、各チームのマシンやライダーの動向もそれはそれで楽しめたのだが、スポーツというジャンルで括ると、こんなに開幕を楽しみにして待ちわびた競技は僕の人生では初めてだ。
僕がMoto GPを観戦し始めたのは2023年の9月ごろからなので、まだまだあまり詳しくもなくシーズンが終わって2024年に向けてライダーたちが入れ替わったりすることにそこまで「ええ!!??」ということはなかった。強いて言えば、マルク・マルケスが長年ともにしてきたレプソルHONDAからグレシーニドカティに移籍したのは衝撃だった。
数十億円とも言われるギャラを蹴り、このままではいかん!HONDAでは勝てない、とマルケスからすればボランティア程度のギャラしかもらえないサテライトチームへ移籍したんだから勝利への執念は恐ろしい。
そんなにわかファンの僕も2024年は開幕から全てのレースを観戦し、シーズンを通してそこで生まれるドラマを観ては一喜一憂してきたので、2025年のチームとライダーの入れ替わりには「なんと!まじか!?」という驚きの連続だった。

https://www.motogp.com/ja/news/2024/09/26/2025-motogp-calendar-revealed/509062
2025年の各チームとライダーをおさらい
では、2024年から2025年へかけての各チームとライダーの動きを私情を交えておさらいしていきたい。背景を知るだけでMoto GPは数倍面白くなり、ただ単にバイクで走って順位を競うレースではなくなる。
ファクトリードカのシートは誰の手に?
おそらく世界中のMotoGPファンが一番注目していたのが、ファクトリードカティのシートだろう。バニャイア(以下ペッコ)は契約年数もあるので1つは埋まっている。問題はもう一つのシートに誰が座るのか?というところ。
ワールドチャンピオンに一番近いマルティンか、それともマルク・マルケス(以下マルケス兄)なのか。様々な憶測が飛び交う中、最終的に残り1つのシートを手に入れたのはマルケス兄だった。まあ、これは予想の範囲内とはいえ衝撃だったのは記憶している。ファクトリーであるレプソルHONDAからサテライトのグレシーニドカティへ移籍してたったの1年でファクトリードカティへの移籍なんだから、それは驚きだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0e2b95ad92adfd84acb80c60357cf206a80e5d9c/images/000
2年連続チャンピオンのペッコと、現役レジェンドのマルケスがファクトリードカティてタッグを組むんだから、これはもうドリームチームで最強と言っても過言ではない。おそらく2025年シーズン、上位争いには必ずこのファクトリードカティが入ってくるだろう。
他にも衝撃がいろいろと
そしてワールドチャンピオンに輝いたマルティンは、サテライトのプラマックドカティからまさかのファクトリーのアプリリアへ。ファクトリードカティのシートへはマルティンなのかマルケス兄なのか・・・というところでマルティンはアプリリアへ移籍したのだ。
日本人としてはやっぱり注目せざる得ないのが、LCR HONDAの中上貴晶選手だ。Moto2クラス参戦からMoto GP10年以上のキャリアを持つベテラン選手が2024年で引退するというのだ。Moto GPクラスでは唯一の日本人ライダーなので頑張ってほしいところではあったが、年齢的にも限界なのか仕方がない。引退後はHONDAのテストライダーとしての契約が決まっている。LCR HONDAの中上選手が抜けたシートには、Moto2クラスで活躍していたソムキャット・チャントラが座る。タイ人ライダーで初のMoto GPクラス参戦なので、タイではヒーロー的存在だろう。

https://www.as-web.jp/bike/1178560/attachment/asimg_lcr2025_main_00_467a79a4786a33
そして同じくMoto2クラスでチャントラとともに戦ってきた、日本人の小椋藍選手がMoto GPクラスにステップアップし、僕的にはLCR HONDAの中上選手の後継になると思っていたが、アプリリアのサテライトチーム、トラックハウスレーシングで走ることになったのだ。日本人としてはHONDAに乗って欲しかったが、ここ最近のHONDAでは勝てないと判断したのだろうか。その辺りの詳しい事情はわからない。
チームとして変わりがあったのはYAMAHAだ。ここ数年、日本勢であるHONDAとYAMAHAは戦績が振るわない状況であり、HONDAはファクトリー2台とサテライト2台の4台体制、YAMAHAはファクトリーのみの2台体制だった。
ドカティ一強の時代で、ファクトリー、プラマック、グレシーニ、VR46の8台体制のところ、プラマックがYAMAHAのサテライトチームになったのだ。
これでドカティは6台、HONDAが4台、YAMAHAが4台、アプリリアが4台、KTMが4台、合計22台のマシンとライダーが決まった。

個人的には日本のKAWASAKIやSUZUKIも参戦して欲しいなと思っているが、難しいところか。もしかしたら近い将来、SUZUKIの復活はあるかもしれないし、BMWもMoto GPへの参戦を希望しているらしい。
タイGP スプリントレースで衝撃の結末

https://kininarubikenews.com/archives/87760
スプリントレースは決勝レースの約半分の周回数で行われるスピード勝負の短期決戦だ。それが決勝の前日に最高峰MotoGPクラスでのみ開催される。
予選ではマルケス兄がポールポジション、2番グリッドにマルケス弟、3番にペッコ、4番がプラマックYAMAHAのジャックミラーで、なんと5番グリッドに日本の小椋選手がきたのだ。
Moto GP初参戦のルーキーが、いきなり5番グリッドを獲得するなんて誰が想像しただろうか。開幕前の練習走行でも良いタイムを叩き出してはいたが、まさかベテランだらけの最高峰クラスでこの順位は驚異でしかない。
以下が、タイGPのスターティンググリッドだ。小椋選手に驚かされたが、トップ10以内に YAMAHAが2台も入っているし、不振が続いていたHONDAも10番と11番グリッドを獲得しているので日本勢も頑張っている。
MotoGP 第1戦タイGP MotoGPクラス スターティンググリッド
1) マルク・マルケス(ドゥカティ)
2) アレックス・マルケス(グレシーニ・ドゥカティ)
3) フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)
4) ジャック・ミラー(プラマック・ヤマハ)
5) 小椋藍(トラックハウス アプリリア)
6) ペドロ・アコスタ(KTM)
7) ラウル・フェルナンデス(トラックハウス・アプリリア)
8) マルコ・ベッツェッキ(アプリリア)
9) フランコ・モルビデッリ(VR46 ドゥカティ)
10) ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)
11) ジョアン・ミル(ホンダ)
12) ヨハン・ザルコ (LCRホンダ)
13) ファビオ・ディ・ジャンナントーニオ(VR46 ドゥカティ)
14) ブラッド・ビンダー (KTM)
15) フェルミン・アルデゲル(グレシーニ・ドゥカティ)
16) ルカ・マリーニ(ホンダ)
17) ミゲル・オリベイラ(プラマック・ドゥカティ)
18) マーベリック・ビニャーレス (テック3 KTM)
19) アレックス・リンス(ヤマハ)
20) エネア・バスティアニーニ(テック3 KTM)
21) ソムキアット・チャントラ(LCRホンダ)
22) ロレンツォ・サヴァドーリ(アプリリア)
レースが始まると、スターティンググリッドの順位そのまま上位3番手までマルケス兄、マルケス弟、ペッコと続く。ところが5番グリッドからスタートした小椋選手がいきなり第1コーナーでアウトから被せて4番手に浮上し、そのまま終始落ち着いた走りでペッコの後ろを追いかけて、そのままチェッカーフラッグを受けたのだ。
これには世界中のレース関係者はもちろん、トラックハウスアプリリアのスタッフ達もビックリの結果だっただろう。まさか4位でフィニッシュするなんて、とんでもないルーキーだ。決勝が楽しみでしかない。
終わってみれば、トップ10以内にHONDAが2台、YAMAHAが1台、日本勢が健闘しているのでこれは決勝レースにも期待したところだ。
MotoGP 第1戦タイGP MotoGPクラス スプリント結果
1 マルク・マルケス(ドゥカティ)
2 アレックス・マルケス(ドゥカティ)
3 フランチェスコ・バニャーヤ(ドゥカティ)
4 小椋藍(アプリリア)
5 フランコ・モルビデリ(ドゥカティ)
6 ペドロ・アコスタ(KTM)
7 ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)
8 ブラッド・ビンダー(KTM)
9 ジョアン・ミル(ホンダ)
10 ヨハン・ザルコ(ホンダ)
11 ラウル・フェルナンデス(アプリリア)
12 マルコ・ベゼッキ(アプリリア)
13 フェルミン・アルデゲール(ドゥカティ)
14 マーベリック・ビニャーレス(KTM)
15 ルカ・マリーニ(ホンダ)
16 ミゲール・オリベイラ(ヤマハ)
17 アレックス・リンス(ヤマハ)
18 エネア・バスティアニーニ(KTM)
19 ソムキャット・チャントラ(ホンダ)
20 ロレンツォ・サルバドーリ(アプリリア)
RT ジャック・ミラー(ヤマハ)
RT ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ドゥカティ)

2025タイGP MotoGPクラス決勝レース
灼熱の太陽のもと、一年中暑いタイでMoto GPの決勝レースがスタートした。冒頭でも書いたが、いつかタイにはMoto GPの観戦に行きたいと思っている。日本GPが行われるモテギでもいいのだが、僕が住む関西から行くとなるとそれなりの時間がかかるので、それならタイでもいいか、となってしまう。ついでに観光したり遊んで帰ってくればいいのだから。もちろん、マレーシアGPやインドネシア GPもアリだと思っている。
スプリントでは上位3人がスターティンググリッドそのままの着順で表彰台に上がったが、果たして決勝レースはどうなるんだろうか。日本の小椋選手は?と期待が高鳴る。ウォームアップラップが始まり、各ライダーがグリッドに並んだ瞬間、こっちまで緊張してくる。
シグナルが青に変わり、一斉にGPマシンが飛び出していく、肝心の第一コーナーを抜けると小椋選手が4位にいる、と思ったのも束の間、なんと3位まで浮上した。が、程なくして4位に後退し、VR46のモルビデリに抜かれて5位に下がる。

そこからは安定して小椋選手は5位をキープ。案の定、マルケス兄が1位独走し、2位にマルケス弟、3位にペッコというスプリントレースと同じ順位でレースが進む。しばらくするとマルケス兄が後ろを何やら振り返っていた。と思ったら次のコーナーでマルケス弟が兄を抜いて1位に躍り出た。
解説の人も言っていたが、これはわざと弟に先に行かせたんじゃないかと。後ろを走ることでタイヤと燃料と体力を温存する作戦なのでは?ということだ。え、ずるい!と思う人もいるかもしれないが、これも百戦錬磨のマルケス兄だからできる戦略だろう。(わざとかどうかは本人にしかわからないが)
そのまま大きな順位変動はなく、レースは進む。ルーキーとは到底思えない落ち着いた走りで5位をキープする小椋選手。もしかしたら4位や3位を狙えたのかもしれない。でも今回は5位で十分だと思う。デビュー戦で完走することも大事だし、先輩ライダーたちの走りを後ろから勉強して今後のレースに活かすのもありだ。
レースも終盤に差し掛かり、ラスト5ラップほどのところで、やはりマルケス兄が弟を抜き、そのままペースをあげて距離を離していく。やはり温存していたんだろうな、ということが確信に変わる。「いつでも抜ける」と思っていたんだろう。

https://www.crash.net/motogp/results/1064471/1/thai-sprint-race-2025-motogp-world-championship-standings
そのまま1位を走り抜き、ポールトゥーウィンを飾った。マルケス兄の話をすると徹夜しないといけないぐらい話が長くなるので割愛するが、レプソルHONDAを世界中に知らしめ、怪我に悩み不振が続き、グレシーニドカティへ移籍して、ファクトリードカティのシートを獲得して、ようやく復活したのだ。決して諦めることなく、走り続けた結果が今日報われたのだ。まだまだレースは続くので簡単な話ではないが、とりあえず今日の勝利は確実に「マルケス復活」として世界中のMotoGPファンの目に焼き付いただろう。
そいて2位にはマルケス弟、3位にペッコ、4位がモルビデリ、5位に小椋選手だ。マルケス完全復活も素晴らしいが、ルーキーの小椋選手が5位というのも素晴らしすぎる。一緒に走っていた先輩ライダーたちからも一目置かれる存在になったことは間違いないし、トラックハウスアプリリアもスタッフたちも驚きだろうし、メディアも騒然としているに違いない。なんだ?あのルーキーは?と。
以下、タイGP決勝レースのリザルト(https://www.motogp.com/ja/gp-results/2025/tha/motogp/rac/classification)



タイGPを観戦し終えて
興味がない人からすると、ただバイクで走って順位を競うだけのレースにしか見えないだろう。「何が面白いのか?」実は僕もそう思っていた人の一人だ。バイクにリターンしてMotoGPを見始めてから、書籍も読んだしマルケスやロッシのドキュメンタリーも観た。Xでは常に情報を追いかけてMotoGPにのめり込んでいる。
おそらく、どんなスポーツでもそうだと思うが、そこにある歴史や背景などを知るとより一層楽しめるのではないだろうか。僕はゴルフをするが、ゴルフの歴史、背景などを知り、実際に自分もプレーするからこそ、その難しさなどがわかるしゴルフの試合も観ていて楽しめる。
まだまだ日本ではモータースポーツの地位低いと言わざる得ない。海外で開催されるMotoGPレースに比べると日本の観客動員数はかなり少ないだろう。レース前後で開催されるイベントや会場での盛り上がりも全然違うんだろうと容易に想像がつく。1年前に鈴鹿へJSB1000を観戦しに行ったことがる。初めてのレース観戦だったのでテンションは高くそれなりに楽しめたが、冷静に考えるともう少し盛り上がってもいいんじゃないか?とも思う。
世界最高峰もバイクレースに唯一日本人が参戦して、初戦で5位なんてとんでもないことだ。
ゴルフで言えば、松山英樹がメジャー大会初戦でいきなり5位とか大ニュースになる。テニスのグランドスラム初出場で5位とか過去にいただろうか?他にも比べるとキリがないのでやめておくが、日本中のメディアが大騒ぎしてもいいぐらいの大ニュースなのだが、おそらく新聞やニュースでもあまり大きく扱われないだろう。実に残念である。
僕の周りにもライダーは何人もいるが、MotoGPを観戦しているのは僕ひとりだけで、MotoGPの話をしても「ふーん。。。」という反応しか返ってこない。興味がないのだから仕方ないが、もっとメディアがどうでもいいニュースやバラエティの代わりに扱ってくれたら、どんなに素晴らしいかと思う。
次はアルゼンチンGP。また小椋選手の活躍に期待したい。

https://jp.motorsport.com/motogp/news/motogp-2025-rd1-thai-race/10699802/
おまけ:MotoGP観戦はHuluが最強説
今のところ日本でMotoGPを観戦しようと思うと、日テレのBSと日テレジータス、HuluとMotoGP公式しか視聴方法がない。たぶん。
日テレやジータスは予選を放送しないらしいので、僕的には論外。MotoGP公式は、予選から過去まで盛りだくさんらしいが月額が高いので予算的に厳しい。となると、予選も見れて見逃し配信もあるHuluしかないのだ。
しかもHuluだと、出先でも電波さえ届けばスマホやタブレットで観戦できるから仕事の合間に・・・なんてこともできるから便利でしかない。
もしMotoGPを何で観ようか迷っているなら、僕はHuluをオススメしたい。(案件ではないですよ)