ライダーの皆様、サーキットは走ったことがあるでしょうか。
バイクに長年乗られている方でも、乗っているバイクがアメリカンやクルーザーだと馴染みがないかもしれません。また住んでいる地域の近くにサーキットがなく、走る機会がない方もおられるでしょう。
私が住んでいる九州・熊本は幸運なことに、サーキットが近くに数カ所にあります。
そして2022年6月にサーキット走行会デビューして以来、何度かサーキットをバイクで走らせてもらいました。
ただサーキットといっても、走行会はレースとは違い、クラス分けがあって各々のペースで走ることができます。今回は、サーキットとはどんな場所なのか、そしてバイク初心者でも参加しやすい「サーキット走行会」について、綴っていきたいと思います。
サーキットとは
まず初めに、サーキットとはどういった場所なのでしょうか?
テレビで見るF1や、ルマン24時間レースなどが行われているのがサーキットです。
ご存知の方もいるとは思いますが、サーキットという用語について調べてみると「自動車やオートバイなどの競走用につくられた環状道路のこと」と称されています。もっと具体的に言うと、レースの為に作られた輪状のクローズド・ロードがサーキットと呼ばれています。
サーキットの設備
そしてサーキットには、レース途中のタイヤ交換や応急処置などを行うための「ピット」、ピット裏のスペースが「パドック」、レース中に計測・監視・競技審査などを行う「コントロールタワー」があります。
大きなサーキットになると、観客席やレース車両保管庫も揃っています。
熊本のHSR九州サーキット
私が初めてバイクで走ったHSR九州サーキットコースは、熊本県菊池郡大津町にある全長2,350mのMFJ(日本モーターサイクル協会)公認サーキットとなっています。
平日は本田技研工業二輪&RDのテストコースとして利用されていますが、休日は一般解放しており、走行会やレースなどが行われています。中規模のサーキットで、ほとんどアップダウンがなく初心者でも走りやすいですコースです。
パドック上に観戦エリアがあり、レース以外の日程は入場料いらずなので誰でも気軽にサーキット走行を観戦することができます。
サーキットをバイクで走るのは危険?
サーキットの概要は分かったけど、サーキットではスピードが速いし危険なのでは?と考える方も多いのではないでしょうか。
この章では、「サーキットは正しく走れば実はそこまで危険ではない!」ということを説明していきます。
サーキットは公道より安全
前述で述べたように、サーキットはクローズドなので、部外者が立ち入ることがありません。公道のように、車・歩行者・自転車・動物などが侵入してきません。
そして進行方向は一方向のみで、中央線、信号、交差点などがないので基本は前を向いて走ればよいのです。
またサーキットイベントごとに路面を清掃するので、公道に比べると常に路面が良い状態で走ることができます。
ここまで説明すれば、公道よりサーキットがスピード域以外は安全だということがよくわかると思います。
バイクでサーキットを走る装備
体験走行以外、バイクでサーキットを走る際は、サーキット用の装備を身につけて走ります。
フルフェイスのヘルメット・革ツナギ・レーシンググローブ・レーシングブーツは必須です。
またプロテクター やエアバックを装着して走るライダーも多くいます。万が一転倒したとしても、これらの装備が身体を守ってくれます。
万が一の転倒に備えて・・・
コース上で転倒した場合、赤旗が振られ全ての走行が中断し、マーシャルがバイクを安全なところまで運んでくれます。そしてレッカー車が出動し、ピットまでバイクを乗せてくれます。
怪我をした場合は、救急車がライダーを乗せて医務室まで連れていってくれます。
このようにサーキットは、むしろ公道より安全だと言えます。それでも無茶をすれば危険なので、そこは自己責任で走ることです。
サーキット走行会とは
サーキットは本来レースをするところなのですが、サーキット走行会はレースではありません。
出走者のレベルに合わせてクラス分けを行い、競い合わずにサーキットを走るのが「サーキット走行会」です。
レースよりも敷居が低く、バイク初心者でもサーキットを走ることができます。
また走行会を何度か走ってサーキットコースを覚え、その後レースに参戦する人もいます。それでは次の章より、私のサーキット走行会の体験を元に説明していきたいと思います。
サーキット走行会の体験走行
ピレリファントラックデイ
生まれて初めてサーキットをバイクで走ったのが、タイヤメーカーのピレリが主催する走行会” ピレリファ ントラックデイ”。もちろん初めてのサーキットなので、体験走行で参加しました。
体験走行は、先導車付き・追い越し禁止で最高速度は100キロくらいです。
そして体験走行はフルフェイス・長袖長ズボンで走れることが多いのですが、私は2ピースの革ツナギ、レーシングブーツ・レーシンググローブを用意して臨む事にしました。
しかしながら、当日の天気は雨。体験走行は昼からなので、午前の遅い時間にHSRに到着してピットへ向かいました。走行準備として、バイクのミラーを外し、灯火類のガラスがコース上に飛び散らないようにマスキングテープを写真のように貼ります。
雨の初サーキット
天気予報通りお昼過ぎから、雨が強くなってきました。午前から走ってる上級者達は徐々に撤収し始め、体験走行のブリーフィングが始まりましたが、25名くらいエントリーがあったにも関わらず、来たのはたった5人。この土砂降りの雨でほとんど来なかったようです。
幸いなことに自分のバイクは、雨に強いミシェランのロード5というタイヤを履いていたので、雨でも走る気満々でした。
体験走行を楽しむ
2ピースのツナギの上にカッパを着込んで、ピットから出発です。
HSR九州は、全長2.35キロ。超ウエットコンディションなので、ホームストレートでも80キロくらいのスピードで周回を重ねていきました。
とにかく転けないように気をつけながら、先導車のライン取りについていきました。ホームストレートとバックストレートではもっとスピード出したい!と思いながらも、先導車を抜いたら怒られるので我慢しました(笑)
たった15分2本?と思うかもしれませんが、サーキット走行は非日常体験なので、かなり体力を消耗します。ましてや雨風が強いバッドコンディションなので余計です。
このような感じで、雨の中「忘れらないサーキット体験走行」が無事終了しました。
サーキット走行会のスポーツ走行
ウェルカム走行会
同じHSR九州で行われた熊本のバイクショップ “Freedom” が主催している「ウェルカム走行会」。私はスポーツ走行枠で参加してきました。
体験走行との違いは、追い抜きありスピード制限なし、ただそれだけです。それではこれから、ウェルカム走行会でのスポーツ走行をインプレッションしていきたいと思います。
クラス分けと走行時間
ウェルカム走行会のスポーツ走行枠は、A・B・Cクラスに分けられています。
Aはサーキット走行上級者、Bはサーキット走行3回以上の中級者、Cはサーキット初心者です。
私はCクラスでエントリーしました。今回は雨ではなく、晴れ時々曇り。気持ちよく走れそうなコンディションです。ウェルカム走行会はお昼13時からのスタートで、20分3本走ることができます。
ブリーフィングと慣熟走行
まず、11時半からブリーフィングが行われ、サーキット走行の仕方や注意事項、もし転けた時の対処方法などを説明して頂きます。
追い越しあり&スピード制限なしなので、やはり緊張感がありますね。
ブリーフィングが終わり、灯火類のマスキングやネジの増し締めなど最終チェックをします。
サーキット上級者さんはタイヤーウォーマーを持参しており、走行前までタイヤを温めていました。
そして13時からCクラスの走行枠がスタートします。まずはピット前に整列し、先導車付きで慣熟走行します。慣熟走行とは、ウォーミングアップでタイヤを温めながら、ゆっくりと走ってマシンの感触を確かめることです。
1周走って、再びピットに戻ってきて整列します。
スポーツ走行スタート
シグナルがレッドからグリーンになると、いよいよスポーツ走行がスタート。
ウインカーもないので、ピットロードからコースに入る時は、後続車に手や足を出して合図します。
コースインしてすぐに第1コーナー、第2コーナーと左カーブを曲がっていきます。その後ストレートでギアをアップしアクセルを煽りスピードを上げていきます。次の左コーナーを曲がり、バックストレートで再びアクセルを回しバイクを加速させます。その先の左コーナを曲がって再び加速、そして最終コーナーへ飛び込んでいきます。
コーナー立ち上がりに加速しギアを3、4、5速まであげ、ホームストレートを駆け抜ける1周2.35キロのコースとなります。
そして20分の中で何周回も走行を重ねます。1周回に要するタイムは1分~1分半。
サーキット上級者は、ホームストレートでは200キロ超です。ストレートでア クセルを開ければスピードが出るのですが、そのあとは必ずコーナーがあるので、いかにコーナー手前で減速してうまくコーナーを曲がるかが、サーキット走行のキモになります。
サーキット走行の課題
このような感じで6~8周走り、チェッカーフラッグが出たら1本目終了です。
ピットに戻ってきて休憩、そして反省&シュミレーションです。他のクラスの上級者の走りを見ながら、勉強します。
そして2本目、3本目とサーキットをたくさん周回を重ねていきます。20分3本走ったら、初心者でなくてもヘトヘトです。
といった感じでスポーツ走行をアクシンデントなく終えることができました。楽しみ方は人それぞれですが、参加しているライダー達は課題を克服する為に、次もサーキット走行に挑むことが多いようです。
サーキット走行会を楽しむということ
今回は、サーキット走行会で「体験走行」と「スポーツ走行」の模様をお送りました。
少しはサー キット走行に興味を持って頂けたでしょうか。
特にスーパースポーツやスポーツネイキッドに乗られているライダーさんには、まずは体験走行を走ってもらいたいですね。というのも公道では、愛車のマシン性能の半分も発揮できませんが、サーキットでは本来のマシン性能を体感することができます。といってもよっぽどの上級者でない限り、フルパワーでは走ることがでいないですが・・・。
そしてサーキットをバイクで走ることによって、乗っているバイクの走る・止まる・曲がるスペックを知ることができます。
その結果、バイクの操縦が上達し、公道でも安全に走れるようになると、私は思っています。
Let’s challenge circuit ride!!