バイクとSDGs

皆さん、こんにちは。今日もツーリング楽しんでいらっしゃいますか?

早速ですが、「SDGs」、最近よく聞くフレーズですね。持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)、略称SDGs〈エスディージーズ〉)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標のことです。バイクもツーリングも将来に渡って持続可能であって欲しいものですが、持続可能にするためには、何が必要なのか?また、今後、何に取り組んでいく必要があるのか?そんなことを勉強してみたいと思いました。

目次

持続可能な世の中とは

持続可能な世の中とはどういう世の中なんでしょうか?

個人的には、持続可能な世の中を支えるキーワードは「平和」「安全」「自由」じゃないでしょうか?

昨年、広島にあるマツダミュージアムに行ってきました。マツダの歴史紹介やたくさんの製品が展示されていますが、ここの特徴は工場に隣接されており工場見学も同時にできることです。但し、逆に工場が稼働している日でないと見学できないのが玉に瑕です。

様々な展示物がありますが、その中にロードスターの展示コーナーがありました。そこの説明員の方が説明されていました。「何でマツダが長い間オープンカーであるロードスターを作り続けているのでしょうか?戦争で頭の上をロケットが飛んでいたり、治安が悪くて強盗が襲ってくるような街でオープンカーなんか怖くて乗れませんよね。マツダがロードスターを作り続けているのは、ここ広島から平和を発信し続ける意味も込められているのです。」思わず感動!

それを聞きながら、バイクに乗っているということもそういう事なんだなと思いました。是非「平和」「安全」「自由」に感謝してツーリングを楽しみたいですね。

マツダミュージムのHP マツダミュージアム|体験する・楽しむ|MAZDA 企業サイト

そういう意味でバイクを考えると持続可能な社会へのヒントがあるかもしれません。

17の国際目標

17の国際目標とは、

1.貧困をなくそう、2.飢餓をゼロに、3.すべての人に健康と福祉を、4.質の高い教育をみんなに、5.ジェンダー平等を実現しよう、6.安全な水とトイレを世界中に、7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに、8.働きがいも経済成長も、9.産業と技術革新の基盤を作ろう、10.人や国の不平等をなくそう、11.住み続けられるまちづくりを、12.つくる責任つかう責任、13.気候変動に具体的な対策を、14.海の豊かさを守ろう、15.陸の豊かさも守ろう、16.平和と公正をすべての人に、17.パートナーシップで目標を達成しよう

となっています。

国連広報センターのHPより
SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン | 国連広報センター

また、それに基づいてバイクメーカーも企業としての取り組みをHPで紹介していて色々勉強になります。

Hondaの取り組みとSDGs (ホンダのHPより)
Hondaの取り組みとSDGs||Honda公式サイト
ヤマハのSDGs (ヤマハのHPより)
SDGs(持続可能な開発目標) – 企業情報 | ヤマハ発動機
スズキのSDGsへの取り組み (スズキのHPより)
SDGsへの取り組み | スズキ
カワサキのSDGs貢献への考え方と取り組み (カワサキのHPより)
SDGs貢献への考え方と取り組み | 川崎重工グループのマテリアリティ | サステナビリティ | 川崎重工業株式会社

1.貧困をなくそう

「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」という目標です。

バイクの主な用途は日常の移動手段ですね。通勤や通学など、全ての人の可能性を広げ、生活を豊かにすることに役立っています。また世界中での製品開発・生産・販売は、その国の雇用拡大にも大きく貢献しています。

ブラジルには、ホンダのPOPというスーパーカブをネイキッドにしたようなモデルがあります。ホンダの中でも最廉価です。以前出張時に市場調査をした際、お客様が「このモデルのおかげで欲しかったホンダが初めて買えた。」とおっしゃったのを聞いて非常に嬉しかったのを覚えています。
移動範囲が拡大することで仕事が広がり、雇用が広がっていくんですね。バイクの価値の真骨頂ではないでしょうか?

ユニークなバイクたち〈ブラジル編〉 | Bikefun

2.飢餓をゼロに

「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」という目標です。

バイクメーカーには、耕運機や船外機など農業や漁業に関係する製品の販売を行っているところが多いですよね。それらを通じて間接的に食料問題にも貢献しています。

人には食料が必要ですが、バイクにはエネルギー、燃料が必要です。食料と燃料では一見関係が無いように見えますが、近年話題になっている再生可能エネルギーを考え出るとその関係が見えてきます。

コラム ユニークなバイク達~HONDA XRE190~ でもご紹介しましたが、例えばブラジルでは燃料としてバイオエタノールが販売されていますが、原料はサトウキビから製造されています。つまり砂糖にするのか?燃料にするのか?経済バランスから決まっているのでしょうが、決して無関係ではなく、今後世界中でバイオエタノールが普及していくと、その原料によっては食料事情に影響が出ないとも限りません。

ユニークなバイク達~HONDA XRE190~ | Bikefun

3.すべての人に健康と福祉を

「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」という目標です。

バイクで言えば、環境対策や交通安全対策などが関係しています。

環境ということでは、気候変動・エネルギー問題への対応が急務です。

温室効果ガス削減の観点では、カーボンニュートラルへの取り組みやクリーンエネルギーの取り組みなどがあります。メーカーは、カーボンフリー社会の実現をめざし、原材料の調達から製品の使われ方まで配慮して企業活動を行っています。また、クリーンな大気の保全を目指し、バイクの使用時における排出ガス低減技術の開発や、生産時の排気・排水における有害物質削減を通じて、大気および水資源の保全を進めています。

一方、交通安全対策として、交通事故死者数の大幅削減を目指さなければなりません。「交通事故ゼロ社会」の実現に向けて、安全技術の開発および普及拡大、世界各国での交通安全教育への取り組みを通じ、ハード・ソフトの両面より事故に遭わない社会の実現をめざしていく必要があります。

4.質の高い教育をみんなに

「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し生涯学習の機会を促進する」という目標です。

バイクの主な用途は日常の移動手段です。通勤や通学など、世界中の人々の可能性を広げ、生活を豊かにすることに役立っています。

また、バイク整備士の技術向上も挙げられます。これによって整備士の技術が向上し、お客さま満足度が上がって販売網が繁栄し、そこに携わる人々の生活を豊かにしています。

日本では、1970年代の後半以降、交通事故の増加や暴走族の危険走行等が社会問題化し、全国高等学校 PTA連合会は1982年に高校生のバイク免許取得や利用を原則として禁止する「三ない運動」を決議しました。これにより高校生はバイクの利用から遠ざけられ、バイク事故は大きく減少しました。

それからおよそ40年、高校生を取り巻く社会・教育環境は大きく変化し、現在はこの運動を見直し、バイクを安全・適正に利用させる方向へと方針転換する動きが始まりました。通学の足としても教育分野に貢献しています。

トラフィケーション第50号(平成31年3月) Traffi-Cation_no50.pdf

5.ジェンダー平等を実現しよう

「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」という目標です。

昔は、バイクは男の乗り物みたいなイメージでしたが、最近は男女問わず広く受け入れられるようになってきました。ひとつには、小柄な女性でも取り扱いやすいように低シート高のモデルが発売されたり、またオプションでローシートの設定があったりと環境が改善されてきました。バイクという乗り物の特徴上、まずは足つき性が大事ですが、単純にシート高だけでも決まりません。サスペンションのセッティングは勿論、シートのクッション性や3次元的な形状の違いでも足つき性は大きく変わってしまいます。

東南アジアでは、バイクの中でもスクータが人気ですが、お客様の中には小柄な女性の方も多いようです。そのような人にとってはバイクを選ぶうえで足つき性は非常に重要です。開発モデルの評価会には現地人の女性が出張して、直接足つき性を確認していました。データだけではなかなか表現できなく、またその確認の徹底ぶりに感心しました。

2025年から、国内原付も原2クラスをベースに馬力規制したモデルが登場するようです。従来の50CCと比べると一回り大きくなることを考えると、小型な電動バイクが見直されるかもしれません。ヤマハのe-VINOやホンダのEM1 e:のようなモデルが更に人気が出てくるかもしれません。ヤマハさんのフレーズで言うと「人間にいちばん近い乗り物なんだ。」ということになりますね。

ヤマハ eVINO (ヤマハHPより)
 E-Vino – バイク・スクーター | ヤマハ発動機
ホンダ EM1 e:(ホンダのHPより)
タイプ・価格 | EM1 e: | Honda公式サイト

終わりに

バイクもSDGsの観点で考えてみるとまだまだやらなきゃいけないことが色々見えてくるようです。次回は、その他の目標もひも解いてみたいと思います居。

是非、持続可能なバイクライフを楽しみたいですね!

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この記事を書いた人

1960年生、山口県宇部市出身。元メーカーの開発エンジニア。 現在は、カーボンニュートラル燃料の普及を研究中。

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