先日、このBikefunの編集長であるISOSHU氏が、大型二輪の免許を取得しました。世界中のすべてのバイクに乗れる権利を取得したのですが、当の本人は選択肢がありすぎて迷っているようです。
ライダーにとって、何のバイクを買おうか迷っている時が実は一番楽しかったりするのですが、沢山バイクを調べて、そして実物を見て、時には試乗をして欲しいものですね。そんなISOSHU編集長へのアンサー投稿になればと考え、「大型バイクを買おうかどうか迷っている方へ」向けた提言?アドバイス?をテーマとして、今回は書き進めていきたいと思います。
中型バイクと大型バイクの違い
まずは中型と大型の違いについて、見ていきます。
・排気量の違い
中型バイクは排気量399cc以下、大型バイクは排気量400cc以上、ただそれだけの違いです。
・車検
中型バイクの中でも排気量250cc未満には車検が必要ありません。対して250cc~399ccのバイクには、新車購入から3年、以後2年毎に車検が必要になります。大型バイクは、中型250cc~399ccと同様に車検が必要になります。
・重量
一般的には、大型バイクは中型バイクより重量が重いです。しかしながら高スペックのスーパースポーツバイクやカーボンを多様した大型バイクは、中型バイクより軽量なモデルもあります。
・燃費
一般的には排気量が小さいほど、重量が軽いほど燃費が良くなると言われています。厳密に言うと、最高出力が高いほど燃費が悪いですね。また高出力を発揮するマシンほど、ハイオクガソリンを使用するため、ガソリン代は高くなりがちです。
・維持費
中型より大型バイクの方が、維持費がかかりがちですが、メーカーやマシンによりけりだと私は思います。言うなれば、ホンダ車は壊れにくく維持費が安いとされていますが、ドゥカティは壊れやすい為維持費が高いと言われています。しかしながら、この議論に関しては、乗り方や個体差もあるので、100%とは言えません。
・加速
大型の方が排気量が大きいので、一般的には中型バイクより加速します。つまり高速走行や坂道などは、楽にスピードに乗ることができます。しかし、本当はパワーウエイトレシオが加速に関係してくるので、350キロのハーレーより、150キロ・250ccのNSR(2スト)の方が、加速します。
・所有感
むしろ、中型と大型の一番の違いは、所有感ではないでしょうか。世間的には排気量マウントという言葉が有名ですが、ライダーの心の奥底には、大型バイクに乗っている優越感的なものがあると思います。中型バイクが悪いわけではないですが、プリウスとレクサスは同じではないと考えるのに少し似ている気がします。
私のバイク遍歴
・実は短いバイク歴
2023年8月以降、このメディアでバイクコラムを執筆させて頂いている筆者ですが、実はバイク歴はそんなに長くありません。実際のバイク歴は3年と3ヶ月で、リターンではないライダーです。
学生時代からバイクに興味があったにも関わらす、雪国に住んでいたこともあって、中型二輪免許は持っていませんでした、そのまま大学を卒業し、社会人になり、免許を取得する暇もないまま中年(40代)になりました。
そして2020年8月、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、時間ができた為、仕事終わりに教習所に通い、中型二輪免許を取らずに、大型二輪免許をダイレクトで取得しました。
・初めて購入したバイクがハーレー・ファットボーイ
免許を購入するきっかけとなったのが、地元の先輩の影響だったのですが、その先輩が乗っていたバイクが、ハーレーのロードキングでした。
バイクに関してほとんど知識がなかった筆者が、迷いなくチョイスしたバイクが同じハーレー。しかも免許を取得する前に、ハーレーディラーを巡って、ファットボーイというバイクに出会いました。勿論免許がまだない訳ですから、またがる事はできても試乗する事はできません。それでもなんの不安もなく、350キロもある2017年式ファットボーイ(1680cc)を買うことにしました。(今考えれば、無謀な挑戦です)
免許取得後、すぐに1人でハーレーを取りに行ったのですが、教習車(CB750)とファットボーイのあまりの違いに慄きながら、必死で車庫までの10キロ運転して帰った事は今でも忘れません。まさにバイク人生で一番長い10キロでしたね(笑)
・MVアグスタ・ブルターレドラッグスターRR
ハーレーを購入して、しばらく乗っているうちに大型バイクの運転にも慣れてきました。近所にバイク仲間もでき、毎週昼夜バイクに乗っていましたね。
しかし、週末に峠やワインディングを走りに行くと、車高が低くて重いハーレーではSSやネイキッドバイクに到底ついていくことができません。負けず嫌いの私は、ハーレー以外に増車を考えることになります。
そしてネットやYoutubeをたくさん見て、1台の官能的なデザインのイタリアンバイクに一目惚れしました。それがMVアグスタのネイキッドバイク、ブルターレドラッグスターRR。球数がかなり少ないバイクだった為、全国を探してもほとんど売っているお店がありません。探し始めて1ヶ月が経過した頃だったでしょうか。千葉県のバイク量販店で2016年式のドラッグスターRR(800cc)を見つけました。気の早い私は、お店に電話して購入を決め、当時住んでいた関西まで陸送してもらいました。
納車後、MVアグスタで走ったワインディングは、今も脳裏に焼きついています。
・トライアンフ・スラクストンR
2020年バイクに乗り始めた頃から、なんてかっこいいバイクなんだろうというバイクの形がありました。それがカフェレーサーでした。
カフェレーサーというバイクの形や歴史を勉強して、カスタムの形であることを知ることになります。
しかしながらバイク初心者の筆者に、カスタムをしてカフェレーサーを作る知識や経験は到底ありません。それならメーカーがリリースしている、ノーマルである程度完成されたカフェレーサーを探すことにしました。
そして見つけたのが、カフェレーサー発祥の地イギリスのトライアンフ・スラクストン。ロケットカウル、セパレートハンドル、シングルシート、メガホンマフラーなど完成されたカフェレーサーに度肝を抜かれました。同時に近い将来、絶対にこのバイクに乗りたいと思うようになります。しかし当時ハーレーとMVアグスタの2台持ちだった私は、新車でスラクストンを購入する財力と余裕がなく、中古車で探すことにしました。
スラクストンに乗りたいと思って半年経った頃だったでしょうか。2020年式(1年落ち)、積算距離8500キロ、シルバーアイスカラーのスラクストンR(1200cc)を、神戸のバイク量販店で見つけました。早速現車確認しに行ったのですが、バイク屋さんの巧みな話術もあり、2時間後には購入を決意。ハーレー・ファットボーイを下取りしてもらい、憧れだったトライアンフ・スラクストンRを手に入れた瞬間でした。
・ドゥカティ900SS
実はスラクストンRと共に、もう一台かなり気になるカフェレーサーがありました。しかしながら、そのバイクは1980年代のドゥカティ・ベベル900SS。そう、1970~80年代のドゥカティが誇る往年の名車です。バイク初心者の私には到底扱える代物ではないと分かっていましたが、いつかは乗ってみたいバイクでした。
遠い将来でもベベル900SSに乗るためには、アイドリングが必要です。つまりドゥカティの空冷キャブ車に乗っておく必要があると考えた訳です。
そんなことを考えている中、とあることがきっかけで1980~90年代に一斉を風靡した、ドゥカティ900SS(ベベルではない)に出会いました。オーナーさんにも出会い、かなりカスタムされている車両でしたが、一度所有して乗ってみたくなりました。その頃は、所有しているバイクはスラクストンRの一台だったということもあり、購入することに。
25年以上の前に製造されたドゥカティは、癖が強いスパルタンなバイクでしたが、バイクを自分が操っていることを感じさせてくれる一台でした。その後、故障が多く手放してしまうことになりました。それでも、自分にもっとメカのスキルがあれば乗り続けられたと思う、素晴らしいバイクでした。
その後、ドゥカティ848EVOコルセSEとBMW・R100RTを所有し現在に至ります。この2台についてはまた次の機会にたっぷりと紹介します。
大型バイクを所有するということ
こんな感じで中型バイクを通ることなく、大型バイクを乗り継いできた筆者。しかも国産車は1台もなく輸入車ばかり。中型からステップアップして大型バイクを買おうとしているISOSHU編集長には、あまり参考にならないかもしれません。
しかしながら、1章で述べた中型と大型の違いはあれど、大型も中型も同じ二輪車です。そしてバイクとの出会いは一期一会だと、私は考えています。新車で注文して買うも良し、中古で一目惚れして購入するのもアリです。ただし一つ言えることは、大型バイクの方が総じてパワーに余裕があるので、運転が楽です。大型バイクに単気筒は少ないですが、2気筒・3気筒・4気筒とそれぞれの特性があり、それらを運転するのは各々の楽しさがあります。そしてバイクは所有してみないとわからないものです。
大型バイクをまず所有してみて、どうしても気に入らない、もっと乗りたいバイクが現れたなどあれば、筆者のように乗り換えればいいのです。また大型バイクは値段が高いと思われますが、数年間乗って売却することを考えると、そこまで高くないとも言えます。勿論、気に入ったバイクをずっと乗り続けるのも素晴らしいことだと思います。
最後に、これから「大型バイクを買おうかどうか迷っている方」へ提言があります。
買わなくて後悔するくらいなら、まずは大型バイクを買ってみよう!
ということです。大型バイクは楽しいので、ぜひステップアップして下さい。これを読んでくれたあなたの、素敵なバイクライフを楽しみにしています。