バイク好きなら一度は考えたこともあるんじゃないだろうか。「バイク屋さんしてみたいなあ〜」と。
毎日好きなバイクに囲まれて、バイクをいじり、色んなバイクに接することができるバイク屋さん。思い描くと夢のような生活だ。
しかしながら、懸命な読者の皆さんは「楽しいことばかりじゃない」ということも分かっていると思う。
僕にしてもそうだ。バイク屋さんをするためには資金も少なからず必要だし、ランニングコストだってかかる。整備をするには整備士の資格だって必要だ。
では、僕のように古物商許可を取得し、オークションの会員になり、ヤフオクで売り捌くのはどうだろうか?
オークションで安く仕入れて、ヤフオク!で利益を上乗せして販売したら「儲かるんじゃね?」と。
本記事では、その辺りのことや、バイクオークション取引を始めるために必要な条件などについて触れてみたいと思う。
これが無いとバイクオークションは始められない
まず、そもそも儲けようとかいう前に、バイクオークションを始められるのかどうか、自分に当てはめて以下の内容を読み進めて欲しい。
古物商許可
まず、バイクのオークション取引をする際には「古物商許可」が必要になる。
なぜ古物商許可が必要なのかというと、中古品を仕入れて利益の乗せて販売するならどんな業種でも古物商許可が必要になることは前提として、バイク業者が出入りする「オークション」に参加するために古物商の許可が必要なのだ。
この「オークション」だが、何社か開催されているが、僕が入会したのは「BDS」というオークション会社。バイクセンサーという中古バイク販売サイトを見たり聞いたりした事があると思うが、その親会社だ。
ちなみに、このBDSという会社は、BASというバイクの陸送サービスを行う別会社も運営している。(これが便利)
古物商許可の取得方法については別記事で解説しているので、そちらを参考にしていただきたい。
オークション会社に申し込み
次に、このBDSに入会申し込みを行う必要がある。これは僕の場合なので、ご自身で調べて他のオークション会社に申し込むのも、もちろんアリだと思う。
僕が入会したのが、「L会員」でインターネットでのみオークションに参加できる権利だ。直接会場に行って出品車両を見る事はできない。
(もし直接見て取引したいのであれば、法人であるとかバイク屋を営んでいるなどの諸条件があるので、詳しくはBDSのホームページで確認してみて。)
BDSに入会する時の話、費用などについては別記事で触れているので、そちらを参考にどうぞ。
これらの準備が整ったら、バイクのオークション取引を「とりあえずは」始める事ができる。
なぜ「とりあえずは」と、もったいぶるような言い方をしたのかと言うと、実は他にも事前に確認しておいた方が良い事があるからだ。
その他の確認しておくべきこと
では、他にも何が必要なのか簡単に説明していきたい。
メンテナンスは誰がするのか?
オークションで中古バイクを落札すると、高確率でどこか調子が悪い状態のバイクが手元に届く。
もちろん、何も手を入れずにそのままヤフオク!で販売できるバイクもあるが、そういったバイクは他の業者も欲しいので決まって高値がつく。
なのである程度安くバイクを仕入れようと思うと、修理が必要になったりする。それがフロントフォークなのかエンジンなのかキャブレターなのかタイヤなのか、ある程度の情報は出品前に分かるので、それらの修理や部品交換費用を考えて落札しなければならない。
では、それらを念頭に置いたとして、いったい誰が整備をするのか問題が出てくる。
そんなものは自分ですればいいじゃないか、という強者は別として、ほとんどの人がバイクを完全に整備できる技術なんて持ち合わせていないと思う。僕にしたってそうだ。超簡単な事なら分かるが専門的なことになると、バイク屋さんに任せるしかないのが一般ライダーではないだろうか。
なので、安く整備してくれるバイク屋さんか、友人などを確保しておく必要がある。
平日に自由に動ける時間があるかどうか
僕が入会しているBDSのオークション開催日は、毎週水曜日と金曜日、朝の10時〜夕方5時か6時ごろまで開催される。
目当てのバイクが出品される時間は前日や当日になるまで分からないし、時間帯がバラバラで出品されることも大いにあり得るから、水曜日と金曜日はPCの前に張り付いていないといけなかったりする。(スマホやタブレットでも操作できるがPCの方が何かと便利)
また、陸送されてくるバイクは基本的に平日着だし、車検やナンバー登録なんかも平日しかできない。
全ての取引や作業が平日に行われるので、平日は会社があるから・・・という方には「不可能」という結論になってしまう。
ある程度の資金があるかどうか
これについては本格的に事業としてするか、個人的に副業としてするかで予算はかなり変わってくるので一概にいくら必要だとは言えないが、それなりの資金が必要なことは言うまでもない。
仮に個人で副業としてバイクのオークション取引をするにしても、最低でも生活費とは別で、数十万円単位が動かせる人でないと厳しいものがある。
例えば、オークションで30万円のバイクを落札したとしても、そのバイクがヤフオクなどで売れてお金になり自分の口座に戻ってくるまでには、数週間から数ヶ月の期間がかかるだろう。買い手が決まっていて、先に現金をもらっているなら話は別だが、なかなかそんな良い話はない。
例としてあげたのは30万円だが、それこそ40万円や50万円を超えるバイクなんていくらでもある。むしろ30万円以下で売れそうなバイクを探す方が難しいし、買値が安くなればなるほど薄利になると思っておいた方がいい。
また、古物商の許可を取得し、オークション会社に入会するだけで10万円を超える費用が必要になるので、自己資金に余裕がない人はスタートすることすら出来ないということになる。
バイクの保管場所
オークションで落札したバイクをどこに保管するのか問題は大丈夫だろうか?
事業として始めるなら、この話題について触れる必要はないが、個人で始めるならどうだろう。
広い敷地を保有する恵まれた方なら問題ないが、僕を含め大抵の一般庶民はそんな場所なんて無い。
近隣でトランクルームや倉庫などを借りるにしても、毎月ランニングコストがかかってくるし、最初から借りるのはオススメ出来ない。どこか無料で保管できる場所を確保できるかどうかも大事な要素として頭に入れておいて欲しい。
実際にどれくらい儲かるの?
お待たせしました。では、バイクのオークション取引について、儲かるのか儲からないのかを述べていきたい。
良いバイクを打倒な金額で落札できると思うな
まず、オークションで目当てのバイクをお得に落札することは難しい。と思っておいて欲しい。
中古バイクの相場が上がっていることもあるが、日本全国の資金に余裕のあるバイク屋さんがオークションに参加しているから競合の数はハンパない。ちょっと目ぼしいバイクなら瞬く間に金額が跳ね上がり、自分の予想以上の金額で落札されていく。
そこそこ程度の良いバイクを安い金額で落札できる、といった事はほぼ無いと思っていて間違いない。稀に運よく競合も狙っていないバイクが安く落札される事はあるが、出品者も最低金額を設定しているので破格の値段で手に入ることは無いだろう。
それなりに整備が必要なバイクなら、ある程度安く落札できる事もあるのが、部品の交換代や整備費用などを考えると、めっちゃ儲かるやん!ということにはならない。
具体的にどれくらい儲かるのか?
まずバイクを受け取るために、陸送費用が必要になる。これが距離によるが、1万円〜2万円程度は必要だと思った方がいい。(自分でオークション会場に引取りにいけば別だが、オークションは日本の各地で開催されており、関東の人が九州の会場まで引取りに行くのは現実的でない。)
そして、落札手数料なるものをオークション会社に支払わないといけないが、バイクの落札価格によって変動する。これが1〜3万円ぐらい。
加えて、必要であれば部品の交換費用と、整備費用(自分でするにしても手間と時間を換算した方がいい)が必要だ。(道具など無いならそれらの購入費用も必要)
一概には言えないが、仮に30万円でそれなりに人気の車種を落札できたとし、40万円で売れたとしよう。
40万円(売値)ー30万円(仕入れ)ー約1.5万円(陸送)ー約1.5万円(落札手数料)ー約2万円(整備費用)=約5万円(粗利益)
ざっくりとこういう感じになる。これはあくまでも運よく40万円で売れた場合の話で、売値が35万円ならトントンというか、手間がかかった分だけ赤字になる。(整備費用、陸送、手数料にもよるが)
え?もうちょっと高く売れるでしょ?と思った方。現実はそんなに甘くない。
グーバイクやバイクセンサーなどの、中古バイク販売サイトならそれなりの金額で売れることもあるが、決して安くはない掲載料が必要だし、店舗を構えないと格好がつかない。
そしてヤフオク!での落札相場は、これらのような中古バイク販売サイトより低いのだ。
たまたま、ピンポイントでそのバイクがどうしても欲しいリッチな人がいれば、それなりの金額でも売れるだろうが、そんな偶然に期待することはビジネスとしておすすめできない。
よって、バイクのオークション取引を個人で気軽に初めても、簡単に「儲かる!」とは言えない。顧客を沢山抱えていたり、SNSなどを駆使して沢山の人に周知できるなら可能性はあるかもしれないが。
様々な条件をクリアし、費用をかけ、手間暇を惜しまずコツコツとできるなら・・・と言ったところだろうか。
どうしても薄利多売になってしまうのが、悲しいかな現実ではないだろうか。
これからバイクオークションを始めたい人へ
いかがだっただろうか。ここまで述べてきたことは、実際に僕が経験してきた現実だ。
ただ、あくまでも僕の経験に基づいた話なので、商売として考えるなら、僕が想像もつかないような上手な方法がいくらでもあるのかもしれない。
まだまだ僕も駆け出しで、本業としてオークション取引をやっている訳では無いが、これからも経験を積んで最適な方法を見つけていきたいと思っている。
厳しい現実ばかり突きつけてきたが、楽しいこともある。利益を求めなくても色んなバイクに乗れるだけで楽しかったりする。(レンタルバイクという手もあるが、所有するのとは一味も二味も違う)
もしバイクのオークション取引を始めるなら、本記事を参考にしていただき、諸々の条件をクリアできるなら、リスクを十分に考慮した上で、まずは一歩踏み出してみるのもアリだと思う。
何事もスタートラインに立たなければ、そこから何も生まれないから。