カフェレーサーとは?〜歴史からカスタム、スタイルまで幅広く解説〜

ライダーの皆様、「カフェレーサー」というバイクをご存知でしょうか。今ではカフェレーサーというのは、バイクの種類の1つとしてライダーに広く認識されています。

そして昨今のネオクラブームも手伝い、バイクが集まる場所でよくカフェレーサーを見るようになりました。しかしながら、カフェレーサーがどういった系譜で生まれ、広まっていったのかは案外知らない人も多いのでは無いでしょうか。

今回は、カフェレーサーの歴史、スタイル、メーカーが販売するカフェレーサーからカスタムまで、幅広い視点でカフェレーサーを見ていきたいと思います。

目次

1.カフェレーサーの歴史

カフェレーサーのルーツがイギリスにあることは、ご存知の方も多いでしょう。イギリスで誕生したカフェレーサーの歴史を語る上で欠かせない、当時のイギリスにおける若者のカルチャーであった「モッズとロッカーズ」について触れていきます。 

・モッズとロッカーズ

カスタム鉄スクに乗る”モッズ” (さらば青春の光DVD画像 引用)

1950年代後半~1960年代初頭にかけて、ロンドンでは音楽(ソウル、R&B、ジャズ)とファッションをこよなく愛する”モッズ”と呼ばれる若者が急増しムーブメントになります。
彼らは、ピタっとしたスーツにミリタリーコートを着て、改造ベスパやランブレッタ(通称:鉄スク)に乗り、ディスコで夜な夜なフィーバーをする独創的で軟派なスタイル。
混沌としていた社会や当時の大人達に、非常識な行動をとって反抗していたのが若者の”モッズ”カルチャーでした。 

映画「さらば青春の光」のジャケ (さらば青春の光DVD画像 引用)

その非常識で軟派なモッズに対抗すべく、ロックンロールを愛し、リーゼントに革ジャン、エンジニアブーツを履く硬派な若者たちが”ロッカーズ”と言われていました。
1979年にイギリスで上映された「さらば青春の光」はモッズとロッカーズの対立を描いた映画としてはあまりにも有名です。助演ですが、若かりし頃のスティング(写真の左から4番目の金髪の人)が出演しています。

・カフェレーサーの由来 

かの有名な”エースカフェロンドン”に集まるバイク (カフェレーサーとはHP 引用)

ロッカーズは、ノートン・トライアンフ・BSAなどのイギリス製バイクをレーサー風に改造して跨り、当時24時間営業だったACE CAFE LONDONに集まっていました。

エースカフェのジュークボックスの再生と同時にスタートし、決められたコース走って誰が一番最初に戻ってくるかを競い合っていました。当初はこのジュークボックスレースに熱中するロッカーズらを”カフェレーサー”と呼んでいたのですが、次第に彼らのバイクの改造スタイルを指すようになっていったと言われています。

・カフェレーサーがイギリスから日本へ

1970~1980年代にかけて、イギリスから日本へカフェレーサーが伝来し、ムーブメントになっていきます。日本の各メーカーもカフェレーサー風のバイクやオプションパーツを次々と販売していくことになりました。
そしてネオレトロブームの昨今、再びカフェレーサーが注目されております。

2.カフェレーサーのスタイル

カフェレーサーは今でこそスタイルが確立しているバイクの種類ですが、当時は改造のスタイルのことを指していました。

カフェレーサーの改造スタイルは、とにかく快適性や利便性を捨てて、速度や旋回性を重視したものです。この章では、パーツごとに詳しく見ていきたいと思います。

1960年代のノートン・カフェレーサー仕様 (Dig-it.media 引用)

❶マフラー:円筒形で後方へ水平に伸びているタイプ。 

❷燃料タンク:とにかく細くて長いもの。

❸シート:車体後方寄りに配置されたソロシート。シートの後方に丸い盛り上がりがつくもの。

❹ハンドル:ハンドルバーが低くて狭いもの。セパレートハンドルやコンチネンタルハンドルが主流。

❺ステップ:より伏せた状態で走りやすいように、バックステップが主流。

❻カウル:カウルレスもあるが、ロケットカウルやビキニカウルをつける場合もある。レースっぽくフルカウルも有。

❼その他:公道でも走行できるように、灯火類やスタンドは付けている。エンジンや駆動系の改造はあまりしない。

一部異なっている箇所もあると思いますが、大体このようスタイルでカフェレーサーを作っていきます。レーサーというくらいなので、一般的なバイクに比べて前傾姿勢で乗りにくポジションになっています。

3.現行で購入できるカフェレーサー4選

次にこの数年間でメーカーから販売された、ノーマルでもカフェレーサーのスタイルをしている車両4選を紹介したいと思います。

1.トライアンフ・スラクストンR

筆者が乗っていたスラクストンR

1台目は筆者が以前乗っていた、カフェレーサー発祥の地イギリスのトライアンフ・スラクストンRです。

現行で販売されているのはスラクストンRSですが、大きな違いはスラクストンRが最高出力97馬力に対して、スラクストンRSは105馬力にパワーアップしたところでしょうか。

ボンネビルT120の水冷並列2気筒エンジン採用しているスラクストンですが、スポーツよりに味付けしているため、クラシックな見た目ながらワインディングや高速走行も難なくこなせる、走れるカフェレーサーに仕上がっています。

ロケットカウル・セパレートハンドル・細長いタンク・シングルシート・メガホンマフラーなど、純正でもカフェレーサーとして十分所有欲を満たしてくれる、ネオクラシック仕様になっております。

2.ロイヤルエンフィールド・コンチネンタルGT 

コンチネンタルGT(ロイヤルエンフィールド東京HPより引用)

2台目はバイク大国インドが誇る、現存する世界最古のオートバイメーカー・ロイヤルエンフィールドから、コンチネンタルGTを推したいと思います。

現行モデルにも空冷4ストローク2気筒エンジンが搭載されています。前述のスラクストンRよりはパワーの劣る最高出力48馬力のエンジンですが、ゆったりと峠道を走るには十分なスペックです。
イギリス製ハリスフレームを採用し、セパレートハンドルにメガホンマフラーという出立ちがカフェレーサーを感じさせてくれます。

そしてコンチネンタルGTの特筆すべき点は、大型バイクでありながら新車で100万円前後というリーズナブルな価格設定にあります。まずはカスタムを楽しむベース車としてこの車両はいかがでしょうか。

3.モトグッチ・V7IIIレーサー10th Anniversary 

モトグッチ・V7IIIレーサー10th Anniversary(Webikeより引用)

3台目は今年創立102年を迎える、老舗イタリアンメーカー・モドグッチのV7IIIレーサー10th Anniversaryを選びました。

モトグッチといえば、縦置きV型2気筒エンジンとシャフトドライブが特徴ですが、そのおかげで低重心でトルクフルな走りが楽しめます。
そして10th AnniversaryモデルのV7IIIレーサーは、ビキニカウル・セパレートハンドル・メガホンマフラーだけでなく、シルバーメッキタンクを採用しており、シルバーと赤のコントラストが美しい、イタリアンなカフェレーサーです。

2020年に販売されたモデルで現行車ではないのですが、もし中古市場で見つけたら是非購入したいV7IIIレーサー10周年記念だと思います。

4.カワサキ・W800 CAFE 

W800カフェの走行画像(カワサキイチバンより引用)

最後に紹介したいのが、国産メーカー・カワサキより、1960年代のW1シーリーズや2000年代のW650の系譜を受け継ぐ、現行発売されているW800です。

とにかく見た目がクラシックなW800は、STD・STREET・CAFEと3種類のラインナップがあります。

中でもW800CAFEは、タイヤは18インチ化&ビキニカウルを採用し、よりカフェレーサーな仕様になっています。最高出力52馬力を誇る空冷パラツインエンジンは、決してパワフルな乗り味ではないですが、ゆったりとカフェレーサーの走りを楽しんで欲しいモデルです。

4.カスタムベースのカフェレーサー・YAMAHAのSR

・日本で最もカフェレーサーカスタムされているバイクは?

日本で最もカフェレーサーカスタムされているバイクと言えば、YAMAHAが誇る名車SR400ではないでしょうか。

残念ながら2021年に43年の歴史に幕を下ろしたSR400ですが、今も尚多くのライダーに愛されているオートバイです。その魅力は、43年もの間、基本構造を変えることなく、クラシックスタイルをつら抜いてきたことに他なりません。

例えば、セルスターターをつけずキックスタートオンリーにこだわったことも、SRを人気車に押し上げた理由の一つです。不便や非日常が逆に良かったりする訳ですね。

そんな一癖あるクラシックの王道をいくバイクがSRですが、オーナーやビルダーの手によって様々なカスタムが生まれてきました。中でも、私が一番好きなのがSRのカフェレーサー・カスタムです。

九州SRミーティングにて撮影

・パーツが豊富でカスタムしやすい

筆者はトライアンフのスラクストンに乗っていたのですが、今年の6月に愛車を降りることにしました。

適度に馬力があって走りが楽しいスラクストンでしたが、一つ物足りないことがありました。それはカスタムがしにくいこと・カスタムパーツがあまりないことで、唯一無二のカフェレーサーが作れないことでした。

その点SRは乗っている人も多い、歴史もあるということで、様々なパーツメーカーからカスタムパーツが販売されています。加えて単気筒なのでバイク素人でも自身でいじりやすいオートバイだと言えます。

九州で開催されているSRミーティングを訪れた事があるのですが、SRのカフェカスタムは千差万別で、まるでミュージアムに行くかのような楽しさがあります。中でも惹きつけられるSRカフェレーサーを見つけたら、ついつい写真を何枚も撮ってしまいます。

5.カフェレーサーの次なるステージへ 

・次なるカフェレーサー

カフェレーサーが好きな筆者ですが、スラクストンを降りてとあるバイクを購入しました。それがBMW・R100RTのカフェレーサーカスタム車両(1981年式)です。これに関しては、また今後このメディアを通じて紹介していきたいと思います。

筆者のBMW・R100RTカフェと友人のRnienT

・カフェレーサーは永久に・・・

今回はこのような感じで、カフェレーサーについて様々な角度から書かせて頂きましたが、少しはカフェレーサーを知ることができたでしょうか。

私はカフェレーサーを愛しているので、見て美しい走って楽しい究極のカフェレーサーを常に追い求めています。

カフェレーサーはバイクの文化でもあり、ライフスタイルだと考えています。皆さんの周りでこんなカッコいいカフェレーサーがいるよというお話があれば、是非とも教えて頂きたいです。

「カフェレーサーは永久に不滅です」

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この記事を書いた人

Yone Log for Motorcycleの運営者。コロナ禍を機に大型二輪免許を取り、バイクに乗り始める。商社マンからフリーランスに転身し、関西からツーリング天国の熊本へ移住。カフェレーサー&スーパースポーツ好きで、サーキット初心者。愛車はドゥカティ848EVOコルセSEとBMW・R100RTカフェ仕様(1981年式)。

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