アワイチとは、もともとサイクリスト(自転車乗り)の間で広まった、淡路島1周の略称である。しかしながら、我々ライダーもいつの間にか「アワイチ」を使うようになっていた。
僕は経験したことがないが、自転車で淡路島を1周するとなると、そこそこしんどいんだと思う。おそらく早朝に出発して1周を終えるのは夜になるんじゃないだろうか。ところが、バイクで150kmという距離は、ツーリングに行き慣れているライダーからすると、ふつうである。
長い距離も走るわけでもないのになぜ、ライダーたちはアワイチをするのだろうか。ツーリングに走行距離を求めるわけではないが、アワイチに隠された魅力とやらを確かめるべく、今回僕もアワイチに挑んだ。
道の駅あわじ
明石海峡大橋を渡り、まずアワイチの起点として設定したのが「道の駅あわじ」だ。1周して最後にまたこの場所に戻ってくる予定で道の駅あわじを出発点とした。
道の駅あわじは、明石海峡大橋に一番近い道の駅で、橋のふもとにある。明石海峡大橋と対岸の明石や神戸を見ながら地元食材を使ったグルメが堪能できる。
淡路島のグルメを食べ尽くすべく、朝メシ抜きで向かったので、まずはここで朝メシを食べる。平日だからなのか、朝10時ごろだったからか、あまりお店は開いてなかった。海鮮丼のお店と、明石焼きのお店のみ。朝から海鮮丼という気分ではなかったので、明石焼きと玉ねぎコロッケを食べた。
味は、まあ、ご想像にお任せしたいところだが、限りなく普通と言っておこう。
朝食は腹八分目で抑えて次の目的地へ向かう。
国道28号を走る
淡路島の東、海岸沿いを走る国道28号を南下し、洲本市の方へ向かう。出発してすぐに漁港の横を通るのだが、磯の香りがすごい。香りを感じられるのもバイクの良いところだと思う。
道の駅あわじでCB400SF (たぶんNC42)にタンデムでツーリングに来ているカップルがいて、先に道の駅を出発したはずなのに途中で追いついた。運転手は男性で、後ろに彼女(奥さん?)を乗せている。同じCB400SFなので気になっていたが、この男性、ゆっくりと走っている。素晴らしいと思う。タンデムでぶっ飛ばす男性がたまにいるが、僕からすると信じられない。
本当に彼女のことが好きなら、ゆっくり走るはずだ。雲行きは怪しいけど、なんだか微笑ましい気分になった。後ろを走っていると、道を譲ってくれたのでお礼をして先に行かせてもらうことにした。
ところがこの話には続きがある。実はこの記事を書いている現在、アップしたアワイチのYouTubeに、なんとそのカップルからコメントが来たのだ。
これには驚いたが、めちゃくちゃ嬉しい。こんな偶然てあるんだなと思うと同時に、弱小チャンネルながらも日頃の行いには気をつけようとも思う。しかし、本当に嬉しいし、いつかどこかで再会できる日を願っている。
しばらく走っているとポツリポツリ・・・雨だ・・・まだ大丈夫かな?と思っていたけど次第に雨足が強くなってきたので、道沿いにある倉庫みたいなところの軒先で雨宿りをさせてもらった。雨宿り中にGoogleマップで次の目的地を探す。(こういうのは事前に計画しておいた方がいいが、朝に行こう!と思ったのであまり下調べしていなかった)
雨宿りの場所から15分ほどのところに、オートバイ神社というのがあるらしい。バイク乗りなら行かない理由がないということで、雨足が弱まったところで出発し、オートバイ神社へ向かう。
オートバイ神社は国道28号線を走ると突然右側に鳥居が現れ、その横に駐車場らしきスペースとプレハブのような建物が見える。パッと見、想像していたものと違う。「わざわざバイクを停めて行くほどでもないか・・・」と判断し、そのまま通り過ぎることにした。
実際のところはどうなのかはわからないので、次に淡路島をバイクで訪れた際には立ち寄ってみたいと思う。
洲本城跡
そのまま国道28号を走り、次の目的地をGoogleマップで洲本城跡に設定した。ここもあまり下調べしていないが、とりあえず行くだけ行ってみて、あまりにもショボかったら通り過ぎるつもりで走る。
国道28号から右折して洲本城跡へと走ると、城の塀だったであろう石垣の合間を縫うように駐車場へと続く道に入る。
駐車場から天守台まで徒歩で5分ぐらい、坂道と階段を登っていく。天守台からは洲本の街並みと瀬戸内海が見渡せて、晴れていれば大阪まで見えるんだろうなと思いを巡らす。
歴史や史跡が好きな人であれば、行ってみてもいいかもしれない。
南淡路水仙ライン
洲本城跡をあとにし、さらに南下すると南淡路水仙ラインへと入る。海沿いを走る快走路で、淡路島に来たなら必ず走っておきたい道だ。
海沿いをひたすら走るのかと思っていたら、途中の一部区間は狭い山道になっており、まあまあのワインディングも楽しめる道になっている。この山道を走っていると現れるのが、謎のパラダイスだ。探偵ナイトスクープで取り上げられたらしい噂の施設だが、残念ながら現在は老朽化のため閉園となっている。開いている時に行っておきたかった・・・
山道のワインディングを楽しんだら海沿いの快走路に出る。これが素晴らしい。交通量も極端に減り、ひたすら海沿いの道を気持ちよく走ることができるのだ。
天気はあいにくの曇りだったが、それでも走っていて気持ちが良いのだから晴れている日に走ったらどんなに素晴らしいだろうか。何度も言うが、淡路島を走るなら必ず、この南淡路水仙ラインは走って欲しい。
こういう道を走っていると、つくづくバイクに再び乗り始めて良かったなと心から思う。
うずの丘大鳴門橋記念館で昼メシを食べる
南淡路水仙ラインの快走路を満喫したら、お昼ご飯の目的地である「うずしおレストラン」へ向かう。地図で見る限り、淡路島の最南端に位置するレストランだ。事前にGoogleマップで調べたところ、臨時休業となっていたのだが、過去にGoogleマップには騙された記憶があるし、今回は良い意味で騙して欲しいという願いを込めて向かった。
ところがその願いは通じず、Googleマップが正しかった。うずしおレストランへ行く道は工事?のため封鎖されており、そもそもレストランにすら辿り着くことができなかった。
仕方なしに向かったのが、「道の駅うずしおinうずまちテラス」という場所。ここなら昼メシにありつけると思ったののだが、行ってみると平日にも関わらず観光客でいっぱい。昼メシを食べるお店はテイクアウトの淡路島バーガーやオシャレなお店しかない。瀬戸内海を一望できるカップルシートのような席が並んでおり、家族づれやカップルで賑わっていた。オジサンひとりで来る場所では無いし、お店も行列ができているのでここは諦めて退散することにした。
そしてようやく辿り着いたのが、「うずの丘大鳴門橋記念館」だ。
まあ、ここも観光客でいっぱいだったが、レストランは開いていたのでここに決める。「絶景レストラン うずの丘」と謳うだけのことはあって、絶景を見ながら食事ができるレストランだったが、ウニを推しているらしくお値段がそこそこお高い。
色々と悩んだ挙句、第六うずしお丸定食を注文した。値段は2420円からで、その日の魚によって金額が変わるらしい。この日の魚は、タイ、カマス、ウマヅラハギだったので、ウマヅラハギを注文したら丸一匹煮付けにして出してくれた。煮付けの突き合わせには淡路島名産の玉ねぎとワカメ。そしてタイのお造りなどが付いた定食だ。
肝心の味はというと、薄味で素材の旨みを楽しむ上品な感じ。
本当は煮付けならもっと醤油がこってり効いた濃いものを想像していたのだが、ちょっと拍子抜けというか正直なところ庶民の僕の口には合わなかった。美味しいのは美味しいが、僕の中では煮付けといえば・・・である。
この、うずの丘大鳴門橋記念館には、タマネギのモニュメントがあり、その前でカップルや家族が写真を撮るために並んでいた。もちろんオジサンひとりで並ぶのは論外。土産物屋も館内にあり観光客でいっぱいなので、昼メシを食べたあとは早々に出発した。
淡路サンセットライン
お腹をウマヅラハギで満たしたら次は淡路島の西側を、出発点である道の駅あわじを目指して北上していく。
島の西側も海岸沿いを走る気持ちいい道が続き、途中から淡路サンセットラインという道に入る。サンセットラインと堂々と名付けるだけあって、瀬戸内海に浮かぶ夕陽がキレイに見える道らしい。
この頃には天気も良くなり青空が広がって、サンセットラインを気持ちよく走ることができたが、時間的に夕陽を見ることができなかったのは残念だ。
途中で、多賀の浜海水浴場という場所で休憩をする。ここは海水浴場と名前が付いているが半分公園のようになっていて駐車場も広く、トイレもあるので休憩するにはピッタリだと思う。ぼんやり海を眺めながら夕陽を待つのも良いかもしれない。
多賀の浜海水浴場を過ぎて少し走ったあたりから、淡路島の東側とはまた違った雰囲気になってくる。東側はどちらかというと漁港や和風の旅館、ホテル、そこそこ賑わいがある街並みといった感じが続くが、サンセットラインを走るとオシャレな洋風のヴィラやカフェ、レストランなどの建物が急に増えだす。
東側がオジサンや年配層向けだとすると、西側は若者やカップル、女子向けといったところだろうか。
そのせいもあって、オジサンひとりでツーリングしている僕としては入りづらい店ばかり。パンケーキ屋さんとか、食べたいけど、そこにオジサンひとりで入っていく勇気は僕にはない。
アワイチ達成
サンセットラインで立ち寄れそうな店がないままバイクを走らせていると、あっという間に明石海峡大橋が遠くに見えてくる。
今回僕はうまくいかなかったが、サンセットラインで夕陽を見れる時間帯に走るとちょうど日も沈みだし、明石海峡大橋が見える頃には対岸の夜景がキレイな時間帯になるのだと思う。もしアワイチに行くなら、時間配分を計算して行くと明石海峡大橋を渡る頃にはバッチリと明石や神戸の夜景を見ながら走れることになる。
そして、今回の旅の出発点である道の駅あわじへ戻ってきた。
お腹に少し余裕があるので、生しらす海鮮丼(1080円)を食べる。いたって普通の味だったが、海鮮丼を食べたかったので良しとする。
バイクで150kmなんて軽く走れる距離だとは思うが、淡路島を1周した、ということだけで達成感はある。道の駅あわじでアワイチの達成感を味わい、疲れを少し癒してから帰路についた。
あとがき
今回アワイチに挑戦するにあたって、十分な下調べをしなかったことは少し後悔している。が、それでも十分に楽しめたツーリングだった。
車だったら絶対に自分は走らないだろう道を走り、YouTubeのコメント上ではあるが素敵な出会いもあった。美味しいものも堪能できたし、快走路も存分に走ることができた。
- 絶景がある
- 気持ちよく走れる道
- 美味しいものが食べれる
僕がツーリングに求める条件すべてを満たしてくれる、オススメのツーリングスポットであることは間違いない。
ただやはり、オジサンひとりで行くよりも複数人もしくは女子ライダーと共に行くことをオススメする。
まだまだ関西やその他の地域、まだ見ぬ土地を求めて走っていきたいと思う。