バイク乗りの皆様、九州ツーリングスポットといえばまずどこを思い浮かべるでしょうか?9割の人が「阿蘇」を挙げると思います。大きい意味での阿蘇(正式には九重連山)は、熊本と大分に位置しています。筆者は熊本在住なので、もちろん阿蘇にはツーリングによく行くのですが、あえて今回は「長崎」を推したいです。
実は長崎には、景色の良い道も沢山あるし、グルメも楽しめます。長崎にはあるけど、阿蘇にはないものってなんでしょうか?答えは、沢山の「海」や「島」があることです。今回はフェリーやクルーズ船も含めた、1泊2日でいく長崎周遊ツーリングの模様をお届けしていきたいと思います。
有明海フェリーに乗船(長洲~多比良港(たいらこう))
まずは熊本市内を出発して、北西にバイクを走らせること1時間、長州港に到着。今回は熊本から船に乗って、有明海を縦断するルートで、長崎(島原)に行くことにしました。受付で1500円のチケットを購入して、バイクでフェリーに乗り込みました。
船旅とは言っても、長州港~多比良港まではわずか45分で到着します。下記の地図を見てもらったらわかると思いますが、熊本から長崎中心部へいこうとすると、有明海をぐるっと回ってこないといけません。そこで片道1500円(バイク料金)を払って船で渡ってしまう方が、時間的にもコスト的にも断然お得です。
雲仙ドラゴンロード
船に揺られること45分、長崎県雲仙市の多比良港に到着。出発時、エンジンがかからないトラブルがありましたが、バイクを押して下船し、バイクを停めて10回始動を繰り返して、なんとかエンジンに火が入りました(大汗)まずは雲仙に来たら走りたい絶景ロード “雲仙千々石線(うんぜんちぢわせん)(通称:雲仙ドラゴンロード)” を目指します。国道389号線から雲仙岳方面に22キロ南西に走ると、そこにはクネクネのワインディングロードが現れます。
直線と急なヘアピンカーブの連続が、龍の立ち昇る姿に似ていることから、「雲仙ドラゴンロード」と名付けられたようです。道幅が狭く傾斜のある峠道なので、バイクを停めて写真を撮る際は、くれぐれもご注意下さい。雲仙ドラゴンロードのクネクネを満喫したところで、雲仙・島原地区を後にし、諫早(いさはや)・大村方面に向かいます。
長崎グルメ「佐世保バーガー」
有明海を左手に見ながら、眺望の良い高速道路を走ります。
お昼時になってきたので、お腹が空いてきました。長崎の代表的なグルメの一つといえば、佐世保バーガーですよね。せっかく長崎に来たからには、佐世保バーガーが食べたいので、途中下車。
ハウステンボス近くで、長崎和牛100%を使用したお肉が自慢の「バーガーショップあいかわ」さんに到着。メニューは極上サーロインを使ったバーガーから、定番の佐世保バーガーまでありました。私はあいかわ(佐世保)バーガーをチョイス。肉汁が溢れ出るほどジューシーで食べ応えのある、本場の佐世保バーガーを堪能できました。今度来るときは、極上のサーロインバーガーを食べみようと思います。
生月島サンセットウェイ
佐世保でお腹一杯になったので先を急ぎます。再び長崎道に戻って、まずは平戸を目指しました。平戸はオランダ村やザビエル像があるのですが時間がなかったので、今回は素通りします。1時間近く走ると平戸大橋が見えてきました。橋を渡ってしばらく行くと、生月島(いきつきしま)です。生月大橋を渡って、記念撮影。
橋を眺めながら休憩した後、念願の生月島サンセットウェイを走ることができました。数々の車のCM撮影に使われている名道ですが、海と山のコントラストが美しい絶景ロードでした。阿蘇には山々はあるけど海はないので、両方を持ち合わせている生月島サンセットウェイは贅沢な感じがします。そして走っているうちにあたりはどんどん日が落ちて、暗くなってきました。バイクを停めて、黄金色に輝く海をバックにドゥカティ848と写真を撮りました↓
大バエ灯台からの夕焼け
そして生月島・北端の大バエ灯台に到着。狙い通り、サンセットまでカウントダウンの時間帯。大バエ灯台にはバイクでは入れないので、駐車場に停めて徒歩で向かいます。夕焼け前の大バエ灯台からシャッターを切った写真は、まさに大映えでしたよ(笑)↓
その後、日が沈んでいくに連れて海が赤く染まっていく景色を見守りました。残念ながら最後に雲がかかってしまい、全てが紅色に染まる地平線は拝めませんでしたが、それでも心が洗われる光景でした。これから生月島に行かれる人は、平戸に宿を取って夕焼けの生月島・大バエ灯台を見に行って欲しいですね。そして平戸へ戻る帰り道が真っ暗だったことは、内緒にしておきます。(島はいい感じの田舎なので街灯が殆どありません)
熊本からはかなり距離があるのですが、やっぱり来て大正解だった生月島でした。
日本本土最西端の地「神崎鼻」
周遊ツアー2日目の朝、宿泊地の平戸からバイクを佐世保方面に走らせます。やはり海をバックに走る道は最高ですね。小一時間運転して、地元の漁港を抜け、次の目的地である佐世保市・神崎鼻(こうざきばな)に到着。
この地は、日本本土最西端。バイクを停めて、看板をバックに記念撮影↓
看板からは歩いてモニュメントを目指します。丘を登って階段を下ると、そこにはモニュメントがありました。随分簡単な感じでしたが、記念撮影。平日というのもあって、我々以外には1組しかいませんでした。
後から知ったのですが、神崎鼻を訪れた人には、「日本本土最西端到達証明書」がもらえるそうです。小佐々支所、小佐々地区コミュニティセンター、佐世保観光情報センター、矢岳簡易郵便局、道の駅させぼっくす99、おさかな広場の六ヶ所にて発行してくれるとのこと。興味がある方は立ち寄ってみて下さい。
長崎グルメ「トルコライス」
そして2日目のメインイベントは軍艦島です。佐世保からは、長崎サンセットロード~西海パールライン経由で、長崎市を目指してバイクを走らせました。長崎市内は道が狭くて、坂が多くて、渋滞が結構ひどいです。なんとか渋滞を縫うように走って長崎港ターミナルに到着。ランチは、長崎グルメの超定番である長崎ちゃんぽんや皿うどんにいきたいところですが、長崎の友人から勧められた人気店の「トルコライス」にしました。
長崎市のアーケード内に店舗を構える「ツル茶ん」は、1925年創業で九州最古の喫茶店とされている老舗。トルコライスは11種類を用意しており、私は「昔懐かしトルコライス」を注文しました。ワンプレートにデミグラスソースのかかったトンカツ、スパゲティ、サラダ、ライスが乗っており、伝統の味を堪能しました。同じく長崎名物であるシャーベット状のミルクセーキも人気メニューで、トルコライスとの相性も抜群です。
軍艦島へ
クルーズ船に乗船
お腹一杯になったところで、長崎港ターミナルに戻り、軍艦島クルーズ船に乗り込みます。平日にも関わらす、我々の時間帯には150人くらい乗船していました。最近は海外観光客にも人気なので、ネットで事前予約しておくことをオススメします。
軍艦島とは?
まずは軍艦島に行く前に、島の歴史について少し触れておこうと思います。
長崎港から南西に約18キロの沖合いに位置する「端島(はしま)」。端島は南北に約480m、東西に約160m、周囲約1,200m、面積約65,000m2という小さな海底炭鉱の島で、岸壁が島全体を囲い、高層鉄筋アパートが立ち並ぶその外観が軍艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」と呼ばれるようになりました。
1800年代前半、端島で石炭が発見されます。そして1890年三菱の経営となったことにより、本格的に採炭が始まり開発されて行きます。1916年には日本最初の鉄筋高層アパートが建設されました。この島には炭鉱施設だけでなく、住居、学校、プール、飲食店、神社などがあり、この狭い島にピーク時は5300人が住んでいました。1941年には、年間出炭最高記録41万トンを達成。そして1970年代まで出炭されましたが、石炭が取れなくなったこともあり、1974年に最後の端島鉱が閉山し、同年4月に無人島になりました。
そして閉山から37年目の2009年に上陸が解禁となり、クルーズ船が出て観光できるようになりました。また2015年、明治日本の産業革命遺産の一つとして世界文化遺産に登録されました。
炭鉱の島「軍艦島」へ
長崎港を出て40分くらいすると、軍艦島が見えてきます。船の上から見ても、廃墟感そして要塞感が凄いですね。
そしていよいよ上陸の時です。船が着岸し、スロープが取り付けられています。150人が下船するため、結構時間かかります。そして3班に分けられて、班に一人ずつガイドさんがついてくれました。
廃墟の島を目の当たりにして
実際に上陸して、見学ができるのは左側のエリアのみ(上記地図の赤い部分)。少ししか見れないので残念でしたが、無人島になって50年近く経っている島なので、危険との判断でしょう。第1見学広場からは、島の中心である貯炭場を臨むことができます。この狭い空間の中で、汗をかきながら多くの人が働いていたのだと、想像を膨らませました。
続いて第2見学場・第3見学場に向かいます。ここからは奥に日本最古の鉄筋高層アパートが見えます。また手前にはプールがあったのであろう場所も確認できました。建物は風化し、鉄筋などは錆びています。50年近く放置され、潮風も強いことから、やはり廃墟感は半端ないですね。
緑色の服を着たガイドさんの話を聞きながら約1時間、軍艦島に滞在しました。半世紀を迎える無人島で、「島全体が繁栄当時のまま残っている」という非日常を味わうことができます。そして軍艦島というだけあって、まるで爆撃された外観のようにも感じました。明治~大正~昭和と、日本が隆盛し敗戦から立ち上がってきた歴史の中に、炭鉱は強く存在していたのだと思います。現在の主なエネルギーは石油ですが、あと50年~100年経った後には、石油化学コンビナートは文化遺産として残されているかもしれません。
そして軍艦島から再び船に乗り、長崎港に戻ってきました。実際に上陸して思ったのですが、軍艦島はどんどん風化が進んでいるので、興味がある方や廃墟好きな方は、早めに行って下さい。もっと風化が進めば、島に上陸できなくなる可能性があるようですよ。
熊本へ帰還~まとめ
長崎港から再びバイクに跨り、多比良港を目指します。夕方の便には乗りたいので、高速道路を利用して帰路を急ぎました。長崎は完全に高速が通っているわけでないので、下道の渋滞にも遭遇しながら、なんとか船の乗船時間にも間に合いました。有明フェリーの良いところは、出航15分前でも乗せてくれるところです(高速バスのような感覚ですね)。そして長州港に着いた後は、しっかりエンジン始動して安心しました。バイク旅の道中で船を使うのは、海を見ながら休憩して進めるので、なんだか得した気分になります。
長崎周遊ツーリング如何だったでしょうか?今回は一泊二日という限られた時間の中、長崎の名所を巡ることがができました。しかしながら、長崎にはまだまだ訪れたいスポットが沢山あります。次回は、諫早・大村・佐世保・平戸を中心に長崎ツーリングを楽しみたいと思っています。ここまでご覧いただきありがとうございました。