1泊4日フェリー2泊!阪九フェリーとCL250で行く九州縦断弾丸ツーリング<後編>

 今回も前回に引き続き阪九フェリーとCL250で行く九州縦断ソロツーリングの旅の様子を紹介していく。前回は九州縦断ソロツーリングの<前編>として、旅の初日から2日目の途中、熊本県阿蘇の大観峰に到着し、その眺望を楽しんだところまでをお届けした。今回の<後編>はその続きから旅の最後までをお届けする。阿蘇大観峰から2日目の宿がある鹿児島県・指宿へ向かう所からスタートである。

目次

いざ鹿児島・指宿温泉へ!

 大観峰の眺望を楽しんで昼食も兼ねた休憩を済ませ、ここからは本日のお宿、鹿児島県の指宿を目指す。ルートを調べた結果、「国道212号で阿蘇市街地→国道57号で熊本市街地→熊本ICから九州自動車道で鹿児島市内へ→鹿児島市内から国道226号で指宿」というルートが出てきたため、このルートで決定した。早速出発である。

阿蘇の町から熊本市方面へ

 まずは大観峰に行くまでに走ってきた国道212号線に戻り、阿蘇市街地を目指す。大観峰を過ぎると道はカルデラ盆地の市街地に向けて、標高差約400mを曲がりくねりながら下ってゆく。この区間、耳の中が気圧差でツーンとした。それだけ急な坂道を下りていたということだ。先にも言ったようにこの区間、阿蘇市街地方面へは下り坂のワインディング。転倒事故やブレーキによる減速の加減には十分に注意が必要である。

下りのワインディング区間が終わると阿蘇市街地に入る。阿蘇の街はその四方を囲んでいる阿蘇の山々のずっと裾野の方まで、のどかな田畑が広がっていてとてもバイクで走りやすい道が多かった。反対方向からも多くのバイカーさんたちがやってきて、すれ違うたびにお互いに手を振り合った。こういう同じバイク乗りの中だけで分かり合うコミュニケーションが私は大好き。バイクに乗ることの良さ、楽しさの1つである。

 阿蘇の駅前からは国道57号線を走る。この道は直接熊本市街地へつながっている。この道も熊本市街に入るまではしばらくのんびりした里山の風景を楽しみながらバイクを走らせることができる。阿蘇大観峰を出発して約1時間半。交通量が多くなって街が近づいてきた。熊本の市街地である。高速に乗る前にガソリンスタンドで給油。給油の後は私も休憩。スターバックスによって少しお茶休憩をした。いよいよ九州自動車道で熊本から鹿児島へ向かう。

熊本から鹿児島へ!県境&山岳越えの高速ツーリング

 休憩を終えて熊本ICから九州自動車道に入り、鹿児島方面に向かった。熊本市街を離れるとすぐに八代IC、熊本県・八代の街を抜ける。ここから九州自動車道は八代から熊本県・人吉を通って宮崎県のえびのJCTまで本格的な山岳区間に突入していった。
特に八代から人吉までは「23か所連続トンネルと急カーブ」という区間で、実際に運転した私の感覚的にはいくら進んでもトンネルという体感である。またトンネル内のほとんどが下り坂のため、運転には今まで以上に慎重になった。また、この区間の途中にあったSAでは「ツーリング中の追突事故多発!」と注意を促すポスターがトイレに実際に貼ってあった。かなり身が引き締まったのを今でも覚えている。

人吉を過ぎると再び長いトンネルに入った。このトンネルの中で熊本県から宮崎県・えびの市に入り、熊本県を脱出した。このトンネルもまた長さ6㎞と長大で出口の見えない単調な状況が続くため、事故を起こさないように注意しながら通り抜けた。トンネルを抜けるとえびのJCTを過ぎて、早々に宮崎県を脱出する。そう、ようやくここから鹿児島県突入である。

鹿児島到着!いよいよ本日のお宿へ

 えびのを過ぎて約2時間、熊本ICから高速に乗って約3時間。進行方向左手、海の向こうのその頂に小さく煙をかぶった山が見えた。桜島である。鹿児島市内へやってきたのである。鹿児島ICで高速を降りて、そこからは鹿児島市街を指宿方面へ抜けていった。夕方の帰宅ラッシュとバッティングしたせいか、市内は大渋滞。とはいえ熊本市街以来の大都会だったため、少し安心してテンションが上がった。

 市内の渋滞を抜けて、指宿方面へ向かう国道226号線を進んで鹿児島市の郊外へ出た頃にはすでに日没を迎えていた。この鹿児島市郊外から226号線は鹿児島湾と湾にせり出した山々に挟まれてその海沿いを進む。先ほど通り抜けて来た鹿児島市中心部の街明かりがぼんやりと光っているのが見えた。ずいぶんと遠くまで来たなと実感が湧いてきていた。鹿児島市内に到着してから約1時間半、時刻は夜の19時をまわっていたが、ようやく指宿にある本日のお宿に到着。長旅で手足や腰がとても疲れたし、CL250もよくここまで頑張ってくれた。明日も復路よろしく!

お宿で体験!砂むし温泉!

  指宿と言えば全国的には温かい砂に埋まって温もりを楽しむ砂むし温泉が有名であるが、ここのお宿はなんとその砂むし温泉に入れるのである。それがここを今回の旅の宿にした決め手である。

専用の浴衣に着替えて、早速砂むし温泉に入った。私が砂に寝転がった瞬間に係の方がどんどん全身に砂をかけていく。係の方いわく、約15分から20分ぐらいが砂むし温泉を気持ちよく味わうことのできる目安とのことだったので、20分入ってみることにした。砂は温かく、全身が砂に埋まるとかなりポカポカしてきた。まるで天然のサウナスーツである。今日1日で新門司から500㎞強走った疲れと仰向けになっていることもあってか、入って5分ほどで眠たくなってきた。それほど砂むしの熱が温かく、気持ちよかった。
そこからさらに15分もすると、温かいというよりは足先の方がみるみる熱くなってきた。下手すればやけどをしそうな勢いである。埋まった砂の中から起き上がって、砂むし温泉を後にした。
シャワーを浴びて砂を落とし、改めてホテル大浴場の温泉に入った。砂むし温泉の温かさと相乗効果でとても気持ち良かった。本格的に九州を縦断した旅2日目の締めくくりはとても癒されるものだった。あまりに癒され過ぎて、砂むし温泉の様子を写真に取り忘れていた。こればかりは許していただきたい!(笑)

朝からバイク!鹿児島行きたいスポット巡り!

 指宿のホテルに1泊して、旅3日目の朝を迎えた。天気は穏やかな晴れ。泊まった部屋は目の前が海。朝焼けと波打ち際の音が聞こえてきて、穏やかな気持ちで温かいお茶を飲みながらしばらく眺めていた。朝の仕度を済ませ、朝7時過ぎに早々にホテルを出発した。鹿児島で行ってみたい場所がいくつかあったからである。 

鹿児島行ってみたかったスポット3選!~その1

 最初に行ってみたかった場所は、同じ指宿市内にあるJR指宿枕崎線の西大山駅。西大山駅へは国道226号線をさらに指宿から西へ20分ほど走る。すると駅に着く手前で目の前に大きな山が現れた。薩摩半島の南端に位置し、その綺麗な円錐型の形から「薩摩富士」とも呼ばれる開聞岳だ。
また西大山駅に近いこの場所は見渡す限りのキャベツ畑。その向こうに見える開聞岳の姿はインパクト抜群である。思わずバイクをあぜ道に停めて、キャベツ畑と開聞岳とバイクの3ショットを収めた。なかなか素敵な絵になる一枚が撮れた。 

 写真の撮れ高に満足し、そこからさらにバイクを5分ほど走らせて3日目最初の目的地、西大山駅に到着した。私がこの駅に立ち寄ってみたかった理由、それはこの西大山駅がJR日本最南端の駅、つまり日本で一番南にあるJRの駅だからだ。
駅の目の前にある小さな駐車スペースにバイクを停めて駅に入ってみた。「入ってみた」と言ってもこの駅は無人駅。駅員さんもいなければ、改札も無く、代わりに小さな運賃回収箱というのがホームに置いてあるだけ。駐車スペースから小さな階段を上がればもうそこは列車がやってくるホームである。ホームは単線の線路に一本のホームというシンプルな造り。そしてホームの端には「JR日本最南端の駅」の看板が。看板の案内書きによれば、この駅が位置するのは北緯31度11分で同緯度には中国・上海などの都市が位置しているとのことだった。そんな看板の存在感以上にこのホームから望む開聞岳がとても美しかった。冗談抜きで絵葉書みたいだった。  

 そんな開聞岳に見とれていると、どこからともなく踏切の遮断機の音がした。列車が西大山駅にやってくる。すごいタイミングだった。ホームには私以外に一眼レフのカメラを構えて列車を待っている男性と女子高生がいた。程なくして1両編成の列車がホームに入ってきた。さっきの女子高生はそそくさと列車に乗り込んでいった。反対に降りてきたのはほとんどがカメラを抱えた鉄道ファンのような方ばかり。さっきの女子高生はこの駅から列車に乗る数少ない西大山駅の利用者だと思われた。日本最南端、開聞岳が望める「旅情」たっぷりのこの駅に通学という「日常」が垣間見えた。
「旅情」と「日常」、相反するものがこの駅に同居している瞬間を見たような気がして何だか面白かった。列車は開聞岳がある方向へと出発していく。カメラを構える方々に混じって、私も開聞岳をバックに西大山駅を出発する列車を撮影した。大都会の駅に掲示されているJRのキャンペーンポスターのような、風情溢れる1枚が撮れた。ずいぶんと南まで、そしてずいぶんと遠くまでやってきたものだと改めて感じた。

鹿児島行ってみたかったスポット3選!~その2 

 時刻は朝の8時を過ぎた。次の目的地に向かう。次の目的地は鹿児島市街にあるため、指宿の町とはここでお別れである。昨日、指宿方面へ走ってきた226号線を反対に鹿児島市内方面へ向かう。昨日は日が暮れて周りの様子が少し分かりにくかったが、日中に改めてバイクで走ってみると鹿児島湾の穏やかな海とそこから吹き抜けて来る風、春先の柔らかな日差しがとても心地よい。同じ道でもいつ走るかによって全く違った顔を見せる。その違いをよりダイレクトに感じ取れるのが、バイクに乗ることの魅力である。

 指宿の西大山駅を出発して、約2時間。途中渋滞にも巻き込まれたがなんとか鹿児島市内まで戻ってきた。鹿児島市内にある次の目的地に行く前に、同じ市内にある鹿児島を代表する歴史的偉人の銅像がある場所へと寄り道した。鹿児島を代表する偉人と言えばそう、明治維新の立役者である西郷隆盛である。西郷隆盛の銅像は東京の上野にある犬を連れた銅像が全国的に有名だが、実は鹿児島にも彼の銅像がある。これは意外と知らなかったという方もいるのではないのだろうか。鹿児島の西郷隆盛像は上野のそれとは違い、軍服のようなフォーマルな出で立ちで建てられていた。

鹿児島行ってみたかったスポット3選!~その3 

 西郷隆盛像に別れを告げて、さらにそこから10分ほどバイクを走らせて次の目的地に到着した。到着したのは薩摩藩主島津家の別邸として築かれ、今はその一帯が「明治日本の産業革命遺産」として2015年に世界文化遺産にも登録されている仙巌園。日本史が好きな私にとっては是非とも寄っておきたかったスポットである。入場料を払って、中に入ってみた。

気分は薩摩藩主!仙巌園からの絶景を味わう

 この仙巌園、元々は薩摩藩主の別邸、つまり殿様の御屋敷である。そのため庭園の部分と御屋敷の部分を見学することができた。庭園部分は御屋敷の外にある庭園と御屋敷内の中庭に分かれており、外の庭は鹿児島湾とその向こうにそびえる桜島が一望。
この眺めを庭園の景観の一部に取り入れている造りが素晴らしく、このコンセプトを一体誰が思いついたのだろうかと思わず感嘆してしまった。またその眺めが最も美しく見えるのが、藩主が日中過ごす居間。一番の眺望を藩主だけが独占できる部屋の設計に薩摩藩主の為政者としての志や権力の大きさを見ることができた。   

薩摩藩主の別邸探訪!

 御屋敷の中も大変素晴らしかった。建物そのものの造りは和風に感じられるが、内部の設備や装飾は中国大陸や琉球王国(今の沖縄県)、西洋文化の影響を受けたものが多かった。さすがは明治維新の立役者を多く輩出した薩摩藩、新しいものを取り入れていこうとする気質が御屋敷ににじみ出ていた。特に中庭と外側の庭にある八角形の池は中国の風水の考え方を取り入れていて、八角形がもっとも運気を取り入れる形であることからそうなっているとか。


また渡り廊下にある照明や応接間にあるシャンデリアのランプシェードは薩摩藩が当時交流のあったイギリスに特注で作ってもらったらしく、当時のものがそのまま使用されて残っていた。現代と遜色ない、モダンなものだった。藩主の部屋や来賓を招く応接間も他の部屋に比べて一段高くなっており、畳の模様も格式高いものに変えられている。薩摩藩のおもてなしの心と外交能力の高さを学ぶことができた。新しいものを取り入れていき、相手を立ててもてなす精神は私も見習いたい。        

関西に帰る前にどうしても寄っておきたかった福岡グルメ

 仙巌園を後にして、時刻はお昼の11時。この日の夕方にはフェリーで神戸に戻るため、ここからは鹿児島を離れて北九州・新門司方面に帰りつつ、寄りたい場所へ寄ることにした。

九州縦断はここから復路。そしてツーリングは帰るまでがツーリング、まだまだ続くのだ。再び九州自動車道で福岡・北九州方面へ。関西へ戻る前にどこか寄っておきたいところはないかと途中のSAで休憩を兼ねた一人作戦会議。
すると九州に向かう前日に、以前九州旅行を経験した母からオススメされた福岡のうどん屋さんを思い出した。福岡空港の近くにある「牧のうどん」というお店である。
母いわく、うどんのコシとお出汁の味、名物の鶏めしが特徴的とのこと。早速行き先をそこに決めて、福岡空港方面へ。行きと同じく福岡空港までは約4時間。九州の広さを少しナメていた。途中佐賀県の鳥栖の街を通った。これで九州にある長崎県以外のすべての県は通ったことになる。この辺りからは、筑紫平野を快走していく。佐賀県から福岡県に入り、太宰府の街が見えてくると福岡空港はもうすぐ。いよいよ「牧のうどん」である。

母オススメのお店に到着!そのお味は?

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この記事を書いた人

2000年生まれの23歳男。兵庫県伊丹市在住。大型自動二輪免許所持。愛車はHONDAのCL250。
大型自動二輪免許取って2年、昨年ようやく自分のバイクを購入。まだまだビギナーですが、ソロツーリングを中心にバイクライフ楽しんでます!
旅とアメカジファッションとコーヒーが大好き。

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