夏になると、いつもこんなに暑かったっけ?と思うのは僕だけではないだろう。データを取ったわけではないが、10年20年や30年前に比べると確実に暑くなっているはずだ。昔はこんなに熱中症とか騒がれていなかったわけだし、クソ暑い中、部活動で水分も取らずに走り回らされていた記憶がある。
こんなクソ暑い中、バイクに乗るには命を危険に晒す覚悟が必要だ。ましてや、僕の乗っているCBR954RRは排熱がエグいので気温の暑さプラス、排熱の熱さとも戦わなければならない。股にストーブを乗せて走っているようなものだ。
それでも、暑かろうが寒かろうが走りたくなるのがライダーだ。というわけで、僕も走ることにした。とはいえ、命を危険に晒す覚悟はできていないので早朝に、涼を求めて走ることにした。
早朝に出発
自宅を出発したのは朝の4時30分ごろ。まだ周りは暗いし、当然夜明け前だ。暗い中バイクを走らせるのは視界が悪いので好きではないが、こればかりは仕方ない。ただ、やっぱり涼しい。バイクで走っていると、夏用のライディングジャケットを着ているが少し肌寒いぐらいに感じる。
徐々に夜明けが近づき、遠くの山の向こうがうっすらと明るくなってきて、走りやすくなってくる。交通量も少ないし涼しいし、言う事なしだ。夏のツーリングは早朝に限る。早朝に出発して、本格的に暑くなる前に帰宅できる短距離ツーリングがオススメだろう。
若ければナイツーもいいが、オジサンライダーは目が見えないし夜は夜でやることが多いからナイツーは若者の特権ということにしておきたい。
高谷山を目指す
今回向かったのは、丹波にある高谷山(こうだにやま)。たかたにやま、と読んでしまいがちだが、こうだにやま、と読むらしい。ネットで調べると、たかたにやまは広島にあるそうだ。
日本語って難しい。初見で「こうだにやま」と読める人は天才だろう。
場所は丹波市になるが、ほぼ福知山市の境目ぐらいに位置する、標高443mの山。ぜんぜん高くはないが、山頂までの道が整備されており、タイミングさえ良ければ雲海が見えるらしい。
道中は176号線などを走って行ったが、早朝ということもあって交通量も少なくほぼほぼ快適に走ることができた。
特に三田市を超えたあたりからは、もう快走路しかない。信号はどこに行ったんですか?というぐらい快適に走れる。いつも思うが、ほんとに兵庫県の北部は快走路が多いから好きだ。
酷道を走って山頂へ
快走路を走り抜けると民家の合間を縫って、いきなり山道に入る。山道に入ると待ち構えているのが動物用の防護扉だ。シカや猪などが山から降りてくるのを防ぐ扉だろう。
もちろん常にしまっているが、手動で開けることができるので、開けてバイクを入れて、閉めてから登るという流れになる。必ず開けたら閉めるように。
この扉を過ぎるとすぐに酷道が現れる。この酷道が山頂までナビで確認したところ15分も続くのだ。
アスファルトで整備されてはいるものの、道幅は狭く両側と真ん中には落ち葉や枯れ木が敷き詰められており、対向車が来たらちょっと苦労するような酷道だ。これは車だときついかもしれない。
また、上りのヘアピンカーブがいくつもあったりするので初心者ライダーはやめておいた方がベターだろう。
実はこの山頂までの道、今回は南側から登ったのだが、北側にも道があってGoogleマップの口コミによると北側の方が道幅も広く、登るなら北側からがオススメだということらしい。マップ上だと南側からの道しか表示されておらず、北側の道は途中で途切れているのだ。でも実際は繋がっているので、運転技術に不安がある方は北側から登るといいだろう。
ゆっくりと慎重に酷道を走り続けると、展望台が見えてくる。ここがゴールだ。
山頂にはベンチもあり、景色もゆったりと眺められるようになっていて、簡易ではあるがトイレもある。バイクを止めて展望台に上がるとそこはもう、絶景と言っていいだろう。
周りに高い山が無いせいか、丹波の盆地をパノラマで楽しめるし、なんと言っても涼しい。僕が到着したのが6時半ごろで、スマホの気温を確認すると24℃だった。真夏で24℃は最高に気持ちがいい。
しかも早朝ということもあってか、誰もいない。貸切でこの景色を独り占めできたのだ。
この山頂には丹波地域のテレビやラジオを流す電波塔が立っているから道が整備されているのではないだろうか。ここなら軽い朝食やコーヒーなどを持ってきて、雄大な景色を眺めながら楽しんでも良いかもしれない。想像しただけでなんて優雅な時間だと思う。
モーニングを食べる
貸切状態で絶景を満喫した後は、朝食を食べに山を降りる。帰りは北側の道を下って行ったのだが、確かに南側の道よりはまだ走りやすかった。決して北側の道もキレイとはいえないが、南側に比べるとマシというぐらいだと思う。そして北側の道には、なぜか防護扉がなかった。
朝食は山頂から30分弱のところにある、福知山市の「REST&COFFEE ポコァポコ」に行くことにした。朝の7時半過ぎから空いているのでここを選んだのだ。
到着すると、店の駐車場に赤いベスパを磨いているオジサンがいた。僕がバイクを降りると声をかけてくれた。
このオジサンによると、まだ店は開いておらず、もう少ししたらお店のママさんが来るとのこと。そして間も無くママさんが車で到着し、オープンしてくれたのでお店に入ることにした。
まあ、至って普通の喫茶店のモーニングだが、横を流れる川を眺めながらのんびりと朝食をとることができるから、居心地はいい。
ゆっくりとモーニングを楽しんだ後は、ベスパのオジサンにお礼を言って店をあとにした。
あとがき
帰宅したのが確か10時前ごろだったと思う。その頃にはもう日差しが強くなっていて信号待ちともなれば暑い。出発してから約4時間のツーリングだったが、夏のツーリングはこれぐらいがちょうどいいのかもしれない。
これ以上のツーリングとなると、命を危険に晒す覚悟が必要なので、その時は十分に熱中症対策グッズを持参してツーリングに出かけたいと思う。ただ、お盆を過ぎるとあっという間に涼しくなって、ライダーにとっては天国の時期が訪れるのでそれまでは控えめに乗ることにしようと思う。