特にカニが好きというわけでもない。殻を剥いて食べるのが面倒だからだ。なので自らカニを食べに行こう!と決断したことは人生で一度もなかったし、高い金を払って食べるならフグの方が良いと思っている。それでも今回カニを食べに行ったのは、もちろんバイクでツーリングという最強の理由があるからだ。
今回は兵庫県の北部、鳥取県の県境ぐらいから海岸に近いところを通る「但馬漁火ライン」へツーリングに行ってきた。兵庫県北部は冬になると雪で走れないため、今のうちに行っておこうと思いこの場所を選んだ。
結論から言うと、今回の但馬漁火ラインは総合的にとても良かった。僕が走ってきた関西ツーリングスポットの道の中で、バイクで走るのには過去最高の道だった。その魅力を綴っていきたいと思う。
但馬漁火ライン
但馬漁火ラインは、兵庫県豊岡市気比から香美町を経て、新温泉町居組を結ぶ日本海の海岸沿いを走る約60kmの道。道中には城崎、香住、浜坂などカニや温泉で有名な街がある。京都市から福井県小浜市を結ぶ通称サバ街道があるなら、この但馬漁火ラインは「カニ街道」と言って良いかもしれない。それぐらい道中ではカニの看板を見ることができる。
また、竹野海水浴場や城崎マリンワールド、余部鉄橋など観光ポイントも点在するので、バイクでなくても楽しめる。
6月から10月にはイカ釣り漁船の漁火が見られることから、この名前が付いたそう。
海岸を近くに見て走るために
今回僕が走ったルートは、浜坂から城崎までの一部ルート。僕の住んでいる地域から行くなら城崎から西へ走った方が但馬漁火ラインへ入るには近いのだが、海を右手に見ながら走る=1車線右手にあるので海が遠い、ことから海を近くに感じながら走りたいので、少し遠回りして浜坂から東へ走ることにした。
本来は新温泉町から但馬漁火ラインが始まるのだが、そこまで行くとかなり遠くなるので途中の浜坂からスタートすることにした。
島を走るなら時計回り、湖を走るなら反時計回りに走ると横に海や湖の素晴らしい景色を見ながら走ることができる。
浜坂で通行止め
舞鶴自動車道の春日ICから北近畿豊岡道に乗り換え、新温泉浜坂ICで降り、道の駅山陰海岸ジオパーク浜坂の郷で少しばかりの休憩した僕は、意気揚々と但馬漁火ラインに向かったのだが、全くもって勘違いしており、海沿いの漁村へ迷い込んでしまった。
おかげで小さな漁村から見える美しい日本海の景色を見ることができたし、こんなところで漁業が営まれて集落が成り立っているのを感じることができたのでポジティブに考えると貴重な経験をすることができた。
間違えた道のまま進んでいると通行止めになっていたので、今度はきちんと但馬漁火ラインを調べて正規ルートへ戻った。最初からきちんと調べておけば良かったのだが、これも旅の楽しみのひとつ、ということにしておく。
気を取り直して但馬漁火ラインを走ったのはいいが、そこでもまた通行止めに出会った。
浜坂から但馬漁火ラインを走りすぐのところ、桃観トンネルというところを抜けた先で通行止めになっているので、もし行かれる方は注意して行って欲しい。(2023年11月9日現在)
またもや通行止めに出会ったが、仕方ないので戻り、山陰近畿自動車道を久斗ICから乗り、余部ICで降りる。
余部鉄橋
ここは兵庫県や関西のライダーには有名な場所だと思うので、詳しい説明は省くが、僕は行ったことがなかったので行ってみることにした。今はコンクリートの橋になっていて、橋の上の駅、空の駅までエレベーターで上がることができる。
帰宅してから実家に行った際に父に余部鉄橋へ行った話をすると、昔その鉄橋で列車の転落事故があったという話を聞いた。調べたところ、1986年のことで、回送中だったので死者は6名のみだったらしいが、地元の人にとっては衝撃的な事故だっただろう。
そんな傷ましい事故があったことなんて露知らずの僕は、エレベーターで空の駅へ登りしっかりと観光客をしてきた。
カニを食べる
さて、ここからは、本当の意味での但馬漁火ラインを走る。余部鉄橋から香住のカニまで約11分。気持ちよく走らせてもらった。
カニを食べたのは、海鮮レストラン かに八代 れんが亭だ。
1万円を超える本格的なカニのコースもあるが、庶民代表の僕としてはランチでしかも独りでそんな贅沢はできないので、今回はカニ丼定食をいただいた。
カニ味噌とかに身が乗っかったカニ丼と、カニの味噌汁、刺身、茶碗蒸し、青のりなどの定食で2200円税込。
一人で行くと、窓際のカウンターに案内されるが、カウンターの後ろにはテーブル席が並んでいる。味はもちろん美味しかったが、腹を空かせて行った僕には少しボリュームが物足りなかった。でもカニが食べれて満足だ。おそらく2023年最後のカニになると思うが。
最高の快走路、但馬漁火ラインを走る
カニを存分に、とまではいかないが美味しくいただいて満足した僕は、いよいよここからが僕にとっては本格的な但馬漁火ラインとなる。
香住から城崎まで約25km、快走路をひた走る。交通量もほとんどなく、ひたすら快走路が続く。今まで色んな道を走ってきたが、こんなに距離があり気持ちよくバイクで走れる道はなかった。
有料道路を走れば距離は長くないし車やバイクも多い。関西ライダーの聖地である高野龍神ラインも観光客が多く、時折渋滞につかまる。しかしこの但馬漁火ラインは最高だった。平日ということもあるとは思うが、ライダーとしては実に気持ちよく走れる道だ。路面の状態もよく、適度にワインディングとアップダウンがあり、思わずスロットルを回したくなるが景色に見とれていると断崖絶壁を真っ逆さま、という結末になってしまうので、ここは景色を楽しみながら適度にゆっくり走った方がいいだろう。
もうそろそろ寒くなり、積雪の心配があるので今年は走ることができないが、春になればまたここに戻って来たいと思う。まだ、11月や12月初旬ごろだと積雪も無いかもしれないので、ぜひライダーの皆さんには但馬漁火ラインにチャレンジしてもらいたい。
もし、ここより長く快適に走れる道を知っているなら、こそっと僕に教えて欲しい。