バイク乗りの皆様、今日もカフェレーサーに乗っていますでしょうか?筆者は昨年、トライアンフのスラクストンRからBMWのR100RTカフェカスタムに乗り換えました。カフェレーサー歴がもうすぐ3年になりますが、これからもカフェレーサーに乗り続けたいと考えています。しかしながら、SNSやツーリングでクールなカフェレーサーを見ると、やはりテンションが上がります。そしてその車種を、グーバイクやヤフオクで調べてしまうことが日常です(笑)。
BIkefunの投稿を始めた頃に「カフェレーサーとは?」というポストをしましたが、今回は「人生で一度は乗ってみたいカフェレーサー」を紹介していこうと思います。乗ってみたい数多のカフェレーサーの中から、滅多にお目にかかれない珠玉のバイク5台に絞りましたので、是非ご購読下さい。
ドゥカティ・MH900e
・900MHRのデザインを踏襲したカフェレーサー
最初に紹介するカフェレーサーは、ドゥカティが誇る名車MH900eです。2000年に世界限定2000台で販売された、巨匠テルブランチの最高傑作。MH900eのモチーフになったのは『DUCATI NCR 900 TT1』で、1978年にマイク・ヘイルウッドがマン島TTで優勝したマシンになります。
その翌年、ドゥカティはその記念として量産版である『900MHR(マイク・ヘイルウッド・レプリカ)』を発売。900MHRは瞬く間に人気となり、「速くて美しいオートバイ=ドゥカティ」のイメージを世界中のバイクファンが抱くようになっていきました。それから時が経つこと20年、1998年にプロトタイプのMH900eがお披露目されました。
・インターネットによる予約販売で瞬殺?
そして2000年、全世界2000台限定でインターネットによる予約販売が開始。MH900eは、瞬く間にソールドアウトになったようです。当時の価格は15,000ユーロ(当時のレートで160万円)で、日本に入ってきたのは2001年でした。果たして日本には何台のMH900eが輸入されたのでしょうか?20年以上経った今でも、全く色褪せることのないデザインのイタリアンカフェレーサーは、私の永遠の憧れです。
・MH900eのスペックと仕様
ドゥカティSS900i.eと共通の排気量904cc空冷Lツイン2バルブのエンジンを搭載し。最高出力は75馬力。真っ赤なトレリスフレームに片持ちスイングアーム、乾式クラッチ、そして後方2本出しマフラー(テルミニョーニ製)など、これそドゥカティ全部乗せ的なバイクです。生産にはビモータも関わっていたのもあり、フロントフォークはマルゾッキ社・リアショックはパイリオ社など、様々なメーカーのパーツが散りばめられています。
トップブリッジから、ホイールやマフラーまで、とにかく美しいイタリアンカフェレーサーであるMH900e。20年以上前の限定車だけに、状態の良い車両がほとんどなく、現在の値段は高騰しています。それでも人生で一度は、イタリアンレッドの官能的なカフェレーサーに乗ってみたいと思わせてくれる車両です。
ノートン・コマンドー961カフェレーサー
2台目に紹介するカフェレーサーは、トライアンフのライバルでもある英国のノートン・コマンド961カフェレーサーです。ノートンは全国的にディーラーが少ないので、余り馴染みがないメーカーかもしれません。
ノートンは1898年イギリスで創業された老舗オートバイメーカーで、1950~60年代のカフェレーサーブームでは、トライアンフ・BSAと並び一世風靡しました。1969年に初代コマンド750が販売開始、続いて1972年にコマンド850がリリースされます。
しかしながらその後、ノートンは経営難に陥り倒産。その後は親会社が二転三転する暗黒時代を迎えました。コマンドの開発はしばらく滞っていましたが、2009年『コマンド961SE』『コマンドー961カフェレーサー』『コマンド961スポーツ』が発表され、コマンドは見事に復活を果たしました。
・ノートン961カフェレーサーのスペック
2013年に2代目としてリリースされたコマンド961カフェレーサーMKⅡは、往年のコマンドを彷彿とさせる並列2気筒OHV961cc空油冷エンジンを搭載し、最高出力は80馬力。フロント・リアサスペンションはオーリンズを採用し、ビキニカウル・セパレートハンドル・左右2本出しマフラー・シングルシートなどザ・カフェレーサーの要素がふんだんに盛り込まれた車両です。
・価格が高いけど、惹かれてしまうノートン
第2世代の961カフェレーサーは新車価格360万円で、対比されるトライアンフ・スラクストンRS(ロケットカウル仕様、最高出力105馬力)の新車価格が250万円であることからも割高感が否めないですね。ノートンは壊れやすい割にはディーラーやメンテできるショップが少ない為、日本ではあまりお目にかかれないバイクだと思います。そんなスペックや整備性が劣るノートンコマンドですが、なぜか惹かれてしまう魅力があります。
BMW・R nine T Custom by 46Works
3台目に選んだのは、まだ現行車のあるBMW・R nine Tなのですが、カスタムビルダーである46Worksによって制作された、特別なカフェレーサーです。
・BMWから依頼されてカスタム?
バイクメーカーは、何年もかけて1台のバイクを開発&デザインする為、基本的にはカスタム車を嫌う傾向にあります。言い換えれば、カスタムとはオリジナルのデザインを変える(悪く言うと否定する)行為。メーカーのデザイナーからすれば気持ちの良いものではない筈です。しかしながらBMWは2014年に、46Worksに新しく発売されたR nine Tのカスタムを依頼。そして46Works代表の中嶋さんが作ったR nine Tカスタムは、世界中で称賛されました。
下:46WorksによってカスタムされたR nine T(46WorksのHPより)
・見た目だけではなく、サーキットでも走れるカフェレーサー
中嶋さんは、ストリート・ワインディング・サーキットで走れるというコンセプトでこのバイクを制作。足回りはオーリンズ、ホイールには軽量なマグタン、エギゾーストには2in1のチタンマフラーを採用。その他、アルミフューエルタンク、クリップオンハンドル、バックステップ、シートなど、様々なパーツがワンオフで作られています。エンジン以外は全て手が入っているように感じますが、当初のコンセプト通り、一才無駄のない・走れるコンパクトなカフェレーサーに仕上がっています。昨年東京で行われた46Works展示会でも、このR nine Tは注目の的だったようです。
このようなスペシャルなカフェレーサーに、人生で一度は乗ってみたいと思わせてくれる、シンプルにカッコいい「R nine T Custom by 46Works」でした。
ハーレーダビットソン・XLCR1000
アメリカンバイクの象徴的なメーカーといえば、10人中9人はハーレーダビッドソンをあげることでしょう。そんなハーレーが1977~1979年に、歴代で唯一発売したと言われるカフェレーサーがあるのをご存知でしょうか。
当時、人気のあった日本製やイタリア製バイクに対抗すべく、アメリカ国内顧客にイギリス仕様のカフェレーサーを販売したいという思いから、XLCR1000(スポーツスターXL1000・Cafe Racer の略)というカフェレーサーがリリースされました。しかしアメリカのハーレー顧客に全く刺さらず、3600ドルという高額設定もあり、商業的には失敗。販売はわずか3年で打ち切りになり、作られた台数は世界でわずか3000台と言われています。
しかし昨今のカフェレーサーブームや希少車両ということもあり、この車両が再び注目されています。1970年代の販売当時、半額セール(1800ドル)でも売れ残っていたXLCRですが、現在の日本市場では300~500万円の高値が付いています。
・XLCRのスペック
XLCR1000は空冷V型2気筒1000ccエンジンを搭載し、最高出力は68馬力と言われています。カフェレーサーにしては長いホイルベースですが、ビキニカウル・細くて小さいタンク・1人乗りシート・キャストホイールなどカフェの要素が詰まったハーレーダビッドソンです。カラーはブラックのみで、当時のハーレーとしては唯一クロムメッキを使わないモデルだったようです。カフェレーサーに、ハーレー伝統のVツインが乗っているだけで何かワクワク感がありますよね。(カスタム車だと、ビューエルのライトニングがハーレーのエンジンを積んでいますが・・・)
・XLCRは乗りにくいけど、欲しくなるバイク
そんなスタイリッシュなXLCRですが、見た目とは裏腹に性能はイマイチのようです。カフェレーサーにしては重い重量(乾燥234kg)に曲がらない・バンクしない・車体が起きてこない・クラッチが重すぎるなど、とてもレーサーするバイクではありません。お笑い芸人ピースの綾部氏がこのXLCRを所有していますが、購入前にケンドーコバヤシ氏から「雑魚は乗るな!」とアドバイスを受けるくらい運転の難易度が高いバイクだったようです。
筆者も一度だけXLCRの実物を見たことがあるのですが、カスタムしたハーレーにはないオリジナルならではの美しさがあります。そして元ハーレー乗りとして、空冷Vツインの鼓動感でカフェレーサーに乗れる至福感を、一度味わってみたいと思わせてくれる究極のバイクだと思います。
CCM・Spitfire Caferacer
最後に紹介したいのはCCMのスピットファイヤのカフェレーサーです。CCM??聞いたことないけど、どこのメーカー?と思いますよね。筆者も実車は一度しか見たことありませんが、CCMはイギリスの小さなオフロードバイクメーカーです。現在のところ日本にディーラーや代理店がないので、個人輸入くらいしか購入する手段はないのですが、とにかく実物のCCM Spitfire Caferacerを見て度肝を抜かれました。
・CCMとは?
CCM(Clews Competition Machines)はイギリスのボルトンに本拠を置くオートバイメーカー。1971年、解散したBSAの競技バイク部門を買い取ったのが創業者であるAlan Clewsでした。当時CCMは2ストロークに対抗できる4ストローク・オフロードバイクを製作し、500ccモトクロス世界選手権などで活躍。1980~1990年代ではモトクロス界で名を馳せたCCMですが、1998年に買収され、2004年に創業を停止しています。その後、元の創業者Alan Clewに再び買い戻され復活を果たします。そして2016年にスピットファイアのスクランブラー、カフェレーサーをリリース。熟練工が手組みでバイクを作り上げるカスタムビルダーのような英国バイクメーカーです。
・スピットファイヤー・カフェレーサーのスペック
水冷単気筒600ccDOHC4バルブエンジンを搭載し、何と乾燥重量は125kg。最高出力は55馬力、最大トルクは58N・mとパワフルであり、無駄を最大限に削ぎ落としたカフェレーサーに仕上がっています。ホイルは前後19インチ、削り出しのハブに軽量アルミリムを採用。セパレートハンドル、スリムなアルミタンク、最低限のシングルシート。オフロードバイクメーカーと思えない無骨でクールなデザインにビルダーのセンスを感じます。そしてこのカフェレーサーの他にブロックタイヤを履いた、アップハンドルのスクランブラーもリリースされています。
筆者が以前お世話になっていたバイク屋さんには、個人輸入されたお客様からスピットファイヤー・カフェレーサーが鎮座していました。日本に輸入された実績がないことから、さまざまな検査や仕様変更をしないと車検が通らないとのこと。一体いくらかお金がかるかわかりません。それでも、このバイクが日本の公道を走っているのを見るのが楽しみです。そしていつかは、自分でもCCMのカフェレーサーを所有して、阿蘇の絶景を走ってみたいと妄想だけはしておきます。
まとめ~やっぱりカフェレーサーが大好きだ
今回はかなりマニアック選考なってしまいましたが、「人生で一度は乗ってみたいカフェレーサー5選」を紹介させて頂きました。イタリア、イギリス、ドイツ、アメリカと国籍が違うメーカーのバイクを挙げさせてもらいましたが、同じジャンルでありながら、これほどまで違うカフェレーサーができるのかと思いました。そしてどのカフェレーサーもスタイリッシュでカッコいいことに疑いの余地はありません。ここから1つだけ選べと言われても到底選ぶことができないメンツですが、全部乗ってみたいカフェレーサーです。
実際ライティングしていてわかったことは、私自身「やっぱりカフェレーサーが大好きだ」ということです。皆さんのお気に入りのカフェレーサーがあれば、ぜひ教えて下さい。