ライダーとは、無理矢理にでも理由をこじつけて走ろうとする生き物だ。それを顕著に表しているのが、コーヒーツーリングとラーメンツーリングだと思う。そしてまた、ライダーとはドMな生き物でもある。眠い目をこすり早朝に、しかも寒い中を震えながら走るのだから完全にドMだ。他人から見たらもはや修行だ。いや、苦行と言った方がしっくりくるだろうか。
今回は私もその「コーヒーツーリング」に挑戦するべく、早朝から冷たい風を浴びて京都府亀岡市にある「かめおか霧のテラス」へ向かった。
かめおか霧のテラス
かめおか霧のテラスは、秋から春にかけて亀岡盆地一帯に発生する「丹波霧」が作り出す絶景の雲海を眺められるスポット。亀岡カントリークラブのクラブハウス前にあるため、ゴルフ場へ続く細い山道を登っていくルートを走る。
高槻など南側からゴルフ場の横を通りながら登っていくルートと、亀岡市内から登っていくルートがある。
南側から登っていくルートは、途中まで快走路が続き走りやすく気持ちの良いコースだが、ゴルフ場の横は車1台がギリギリ通れるような狭い道で、デコボコあり、落ち葉あり、急勾配ありなので初心者には向いていない。
亀岡市内から上がるルートはゴルファーがゴルフ場へ行くために一般的に利用するルートで広くはないが車2台がすれ違うことができる程度の幅もあり、ある程度きれいに整備されているので、こちらの方が走りやすい。
行きは南から、下の急勾配は避けたいので帰りは亀岡市内へ、という方法もある。
また、かめおか霧のテラスは雲海を眺めれるスポットではあるが、元々はパラグライダーの離陸場所だったらしく、展望デッキは2018年に開設されたとのこと。
おすすめは早朝
おすすめは、前日との寒暖差が大きく晴れた風の少ない早朝。日が高くなるにつれて霧が晴れていくので日の出から10時ごろまでが見頃らしい。
が、バイクで行くなら暗くて細い道を走るの危険なので日の出を狙うのではなく、日の出あとスグぐらいがいいだろう。そして時間が遅くなるにつれて人も増えてくるので、できるだけ早い時間に到着した方がバイクとの写真を撮影したりコーヒーを飲むのには適している。
今回僕が行った時の日の出は6時10分。到着したのが6時40分ごろ。ジョギングをしている人たちが数人来ていて、無事にバイクと雲海の写真を撮影し、コーヒーを飲み終わる頃には車で来る人や、他のライダーも来出したのでギリギリだった感じだ。流石に人が多い中でコーヒーを沸かしながら撮影して・・・という度胸は僕にはない。
展望デッキにバイクを停めて良いのかどうかはわからないが、人が増えてくると迷惑になるので、やはり人が少ない早朝を狙うべきだとは思う。(バイクをデッキに停める際は自己責任でお願いします)
快走路「茨木亀岡線」を走り、かめおか霧のテラスへ
関西のライダーにはお馴染みである423号線を抜けると、大阪府道・京都府道46号線である茨木亀岡線へと入る。423号線の途中には、これまた関西ライダーには有名なライダーズカフェ兼バイクショップの「Bikers in TRUST」があり、おそらく関西ライダーの中では一番有名であろうコンビニ「余野コン」がある。休日ともなれば、オジサンライダーでごった返すライダーの聖地的なスポットだ。
そんな有名な道を進み、茨木亀岡線へ入ると信号も交通量も少ない山間の快走路を走ることができる。時折狭くなるところがあるので注意は必要だが、気持ちよくバイクを走らせることができる。
早朝なので高回転でうるさく走るのも申し訳ないが、ついついスロットルを回してしまう。
風を感じ、マイナスイオンをたっぷり浴びながらバイクを走らせていると「亀岡カントリークラブ」の看板が出てくるので、そこを左折して目的地へ向かう。ここからは車が1台通れるぐらいの狭い道でいわゆる悪路になるので気をつけて走りたい。
急勾配や、落ち葉が浮いていたり、デコボコがあったりするので運転に自信のない初心者は亀岡市内からゴルファーが一般的に使う道を使った方がいいかもしれない。
目の前に現れる絶景に息を呑む
悪路をゆっくりひた走っていると徐々に周りが霧に包まれているのがわかる。走行しているうちにかめおか霧のテラスが現れる。
テラスというだけあって、ウッドデッキのようになっているのだが、ここはバイクで乗り入れていいのかどうかはわからない。禁止とは書いていなかったのでおそらく大丈夫だろうが自己責任でお願いしたい。
ウッドデッキにバイクをとめると、目の前に現れるのは、一面真っ白の雲海。息を呑む景色とはまさにこのことだろう。真っ白の雲海の隙間や遠くに見える山々、青い空が感動ものの景色を創り出している。僕の拙い文章力では表現しきれないほどに、素晴らしい。
しばらくの間、雲海に見とれてしまい本日の目的?であるコーヒーを飲むのを忘れていた。
コーヒーを飲む
到着した時は、いつもジョギングに来ているという元気なオジサン(73歳)が一人いたのだが、色々と喋ってオジサンが戻った隙に、すかさずお湯を沸かしてコーヒーをいただいた。
僕の場合、コーヒーといってもミルで豆を挽いて本格的なコーヒーを飲むのではなく、インスタントだ。味の違いがわからない男なので、インスタントでも絶景の雲海を眺めながら飲むと格別の味がする。
ここにはまた感動を味わいに来たいが、コーヒーじゃなくても別にいい。それがコーンポタージュでも、味噌汁でも、あったかい何かが飲めればそれはもう格別の味になるだろう。
「コーヒーツーリング」とは、コーヒーを飲むためにバイクで走ることを指すのだろうが、本当はバイクで走るためにコーヒーを飲むことを理由にしているだけだと僕は思う。最優先の目的はバイクで走ることなのだ。でも、それでいいじゃないか。理由はなんであれ、バイクで走りたいのがライダーなんだから。