【北海道バイク事情】ツーリング天国といわれる理由

札幌に住むライター・ライダーが、北の大地を走る魅力をお伝えする【北海道バイク事情】。その第1回目は、なぜこの場所がライダー天国といわれているのか解説する。

北海道に住んでいない人がバイクに乗ったら、北海道に来て欲しい。そして北海道を深く味わいたいならバイクに乗って欲しい。そう願ってやまない。

目次

走りをずっと楽しめる~風景がよくて道が広いから

出典:グーグルマップ(以下同)
アサオカミツヒサ

ライダーなら広い道路をずっと走っていたい、という欲求があるだろう。それをすぐに堪能できるのが北海道だ。

上の写真をみて「ここを走りたい」と思わないライダーはいないのではないか。これは北海道の長沼町にある道の駅「マオイの丘公園」の周辺の写真。周りは畑だらけで視界をさえぎるものはほとんどない。

この周辺のメイン道路である国道274号をアップにしたのが下の写真。このまっすぐな道が12kmも続く。

まっすぐの道が12kmなだけで、この前後の道路も緩いカーブがあるだけで広くて快適。走りを存分に味わえる。

そしてこの道から少しわき道に入っただけでこんな素敵な風景が現れる。

畑のなかに浮き島のように数十本の樹木が集まって生えていて、何とも印象的な写真だ。これは4月の様子で、広大な畑にすでにトラクターが入った跡がみえる。つまり農家さんが土地を耕し終えたところ。ここに種を植えて実りの秋を待つ。

無名な土地でもすごいから北海道はすごい

ここで強調したいのは、北海道以外に住んでいる人(以下、道外の人)で、「長沼町」や「道の駅『マオイの丘公園』」を知っている人がいるだろうか、ということ。

道外の人でも、函館やニセコや富良野、稚内は知っているはず。もちろんそれらの有名観光地はとても素晴らしいのだが、北海道は無名の場所でもこんなに素晴らしいのだ。

大都市から1時間足らずは快適な道路

そして道の駅「マオイの丘公園」周辺にはもう1つ重大な事実があって、それは北海道の「首都」であり200万人都市札幌の中心部からバイクで46分しかかからないということ。

大都市から1時間もかからずにこんな風景がみられるのであるだ、北海道は。

都心部をすぐ抜けられる快適さといったら

東京23区はいうに及ばず、本州の主要都市に住んでいるライダーは、交通量が少なくよい風景が続く田舎道を走りたいと思っても、都心部を抜けるストレスが大きいのではないか。

例えば、8時間の予定で日帰りツーリングを計画した場合、都心部を抜けるのに2時間かかってしまったら、行きと帰りで4時間ロスしてしまう。さらに昼食に1時間を要するとなると、田舎のキレイな道路を走ることができるのは3時間しかない。

しかし北海道なら、札幌に住んでいても、都心部の走行は往復で長くて2時間程度なので、昼食に1時間使っても、8時間ツーリングで気持ちのよい道路を5時間も走れる。

ライダーに優しい人が多い

北海道ツーリングに来たら、きっとコンビニを多用することになるはず。もちろん道外のツーリングでもコンビニはライダーの強い味方だが、北海道ツーリングではしばらく店がない道路が数多く存在するから、休憩できるのはコンビニしかない、ということも起こりうる。

コンビニの駐車場にバイクを停めて店内に入り、トイレを使わせてもらって缶コーヒーでも買って出てくると、きっと見ず知らずの人がそのバイクをみているはず。

バイクをみている人は、トラック運転手のこともあるし、近所のおばちゃんのこともあるし、地元の高校生のこともある。

もし自分のバイクをみている北海道民(以下、道民)がいたら、ぜひ勇気を出して「こんにちは」と言ってみて欲しい。するとかなりの高い確率で「そのバイク、格好いいねえ」とか「どこから来たんですか」とか言われるはずだ。もしかしたら、バイクのナンバーをみて「へえ、奈良県から来たの?」と言ってくるかもしれない。

道民はライダーに優しい。もちろん都道府県別ライダー親切率といった統計データはないが、これは間違いのない事実だ。

道民はそもそも柔和で人懐っこい性質で、北海道に来る人に親切だが、それ以外にもライダーに優しい理由がある。それは、道外からやってくるライダーにいい人が多いからだ。道民は、道外ライダーたちが憧れを持って北海道にやってくることを知っている。

自分の土地に憧れを持ってくれている人を歓迎しないわけがない

ただ、道民はシャイな人が多い。だから、道外ライダーに関心を持っても自分から話しかけてくることはないだろう。だからぜひともライダーのほうから道民に声をかけて欲しいのである。そうすれば地元の人がよくいく店を教えてくれるかもしれない。

海沿い道路と峠道を同時に味わえる

周囲をすべて海に囲まれている都道府県は、北海道と沖縄県しかない。

だから北海道ツーリングを計画したらほぼ100%海沿いの道路を走ることができる。海沿いを走ることを嫌いなライダーはいないはずだ。

海沿いの道路と同じくらいライダーを惹き付けるのは峠道だと思うが、北海道はクネクネ道もたくさんある。1日で海の道路と山の道路を周ることも簡単だ。

上の写真は、JR札幌駅から1時間15分ほどの道の駅「石狩あいろーど厚田」付近の海沿いの道路と、50分ほどの手稲山の峠道。

この両方は、4時間もあればどちらも巡ることができるだろう。

今回は都心部近くでもツーリング・スポットがたくさんあることを伝えたいので、あえて札幌の近くの場所を紹介しているのだが、このレベルの道路は北海道にごまんとある。 

激安or無料のキャンプ場がある

ライダーのなかには「バイクの1人旅ならキャンプっしょ」主義者もいるだろう。北海道には激安のキャンプ場や、ときに無料のキャンプ場まである。

「安物買いの銭失い」ということわざがあり、これは安いもの買うといろいろ手間がかかるから、結局割高になるという意味だが、北海道の激安or無料キャンプ場は例外。水場やトイレも完備されていて、そのうえで無料というところもあるのだ。

無料キャンプ場がいいのは、24時間出入り自由であること。管理人がいないので、勝手に入って勝手に出ていってよい。

道外から北海道に来るライダーは熱い

北海道ツーリングの魅力は、道外ライダー自身も生み出している。初めて北海道入りした道外ライダーはほぼ間違いなく「とうとう北海道だ」と思うはず。北海道への憧れを持たず北海道を走る道外ライダーはいないだろう。

だから、北海道に来る道外ライダーは熱い。そのため、道外ライダーどうしが意気投合することは珍しくない。もちろんそこに道内ライダーが加わることもある。

ツーリングの楽しみの1つに出会いがあるが、北海道ツーリングは必ず出会いをもたらしてくれる

まとめ~バイクに触れたら北海道に来て

バイクの免許を取得したら、必ず北海道に来て欲しい。バイクを持っている人はもちろんのこと、免許を取っただけでまだバイクを買っていない人も、レンタルバイクで来て欲しい。

――と力説できるくらい、北海道はライダーの期待を裏切らない。

道外の人にとって北海道は遠い存在だと思う。最も近い青森県ですら海を渡らなければならないから。それでも来る価値はある。

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この記事を書いた人

●著者紹介:アサオカミツヒサ。バイクを駆って取材をするフリーライター、つまりライダーライター。office Howardsend代表。1970年、神奈川で生まれて今はツーリング天国の北海道にいる。
●イラストレーター紹介:POROporoporoさん。アサオカの親友。

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