暦は3月中旬、いよいよ春が到来します。3月は卒業や異動、確定申告、決算など節目となるイベントが多いですね。モータースポーツの世界では、一足早くMoto GPがカタールで開幕しました。個人的には、今年GASGASから参戦しているMoto GPクラス唯一のルーキー、ペドロ・アコスタ選手(なんと19歳)に期待を寄せています。
第1戦のカタールGPでも、今季ホンダからドゥカティに移籍したマルク・マルケスとやり合っている姿は、若かりし頃のマルケスを彷彿とさせました。やっぱりモータースポーツ観戦は楽しいです。
観戦も良いのですが、先日、今年初めてサーキットを走ってきました。いつもお世話になっている “ウェルカム走行会” に参加し、場所はHSR九州サーキット。やっぱりサーキットを走るのは楽しかったと書きたかったのですが、タイトルにもある通り、バイク人生で初転倒しました。
ということで今回は、サーキットで転倒したらどうなるかというポストになります。これからサーキットを走ろうと考えている方に、何らかの参考になればと思っています。
サーキット走行会とは
まずはサーキット走行会について、ご存知ない方に向けて少し説明します。サーキットではレースが開催されることが多いのですが、走行会では競争をするのではなく、各々のペースで走ることができます。そして走行会では持ちタイムや経験によって、クラスを選ぶことになります。走行会の詳しい内容は、以前に投稿しているので、よろしければご覧ください。
サーキット走行会にエントリー&タイヤ交換
走行会のエントリー
今回走るウェルカム走行会のエントリーは、おおよそ走行会の1ヶ月前に行われます。ウェルカム走行会には、上級者のAクラス、中級者のBクラス、初心者のCクラスがあります。いずれも速度制限無し・追い抜きありの20分3本走れるのですが、筆者はBクラスでエントリーしました。
HSR九州開催のウェルカム走行会はすごく人気があるので、どのクラスもエントリー開始から1時間以内でソールドアウト。筆者がサーキットを走るのが、昨年10月末のRSGライディングスクールなので、約半年ぶりになります。というのもそのライスク参加後に腰痛を煩い、MRI撮影にて椎間板ヘルニアが発覚しました。まだヘルニアが治ってないのですが、サーキットを久しぶりに走りたい気持ちが強くなり、エントリーすることにしました。
タイヤ交換
続きまして、タイヤの話です。2月までドゥカティ848に履いていたタイヤは、ピレリのディアブロロッソコルサⅡ。だいぶ溝がなくなりスリップサインも出ていたので、サーキット走行前にタイヤ交換することにしました。
しかし、タイヤが2年ほど前から値上がりし続けており、今や高級品の部類です。馴染みのバイク屋さんで、ディアブロロッソコルサⅣを注文してもらいましたが、前後で70,000円(汗)そして3月にまた値上がりするとのこと。
タイヤ代の高騰を考えると、サーキットを走るハイグリップタイヤでは闇雲にツーリングできない時代になってきましたね。そして2月中旬、バイク屋さんにてタイヤ交換してもらいました。
走行会前日
前述の通り、タイヤ交換を終えたドゥカティ848。しかし2~3月は九州でも気温が低く、腰も痛いので全然バイクに乗らない日々が続いていました。それでもタイヤの皮剥きをするために、100キロ弱は乗ったでしょうか。
そしてサーキット走行会前日、今日くらいはドゥカティ乗って身体をスーパースポーツに慣らしておこうと考えるも、朝からいつもより腰が痛いのでツーリングは断念。それどころか、久しぶりのトランポに積み込み&走行会の用意で、腰に痛みを覚える始末。それでも革ツナギ、ヘルメット、プロテクター、グローブ、ライディングブーツなど忘れ物が無いように、ハイエースに積み込みました。
また昨年末、購入したHit Airのエアバックも忘れずに準備しました。
走行会当日
HSR九州サーキットに到着
走行会当日の天候は雲一つない快晴に恵まれました。しかしながらやはり3月ということもあり、朝9時の気温は10度と少し肌寒い感じでした。10時前にHSR九州入りして、ピットの場所を確保。
この日の午前はライセンス保持者のスポーツ走行枠だったのですが、その様子を見ながら、バイクをトランポから下ろして準備します。灯火類にマスキングテープを貼ったり、タイヤの空気圧チェック、ネジの増し締めなど、走行前に色々やることがあります。
エントリー&ブリーフィング
11時から走行会のエントリーが始まるため、続々とライダーが集まってきます。筆者も11時過ぎにエントリーを済ませました。そして12時頃、主催者からHSRコースの詳細、各フラッグの役割、転倒した時の対処法など説明があります。それが終わるといよいよ走行会が、Dクラス(体験走行)からスタート。
そこから待ち時間の間に、革ツナギに着替えます。やはり革ツナギを着る時は腰が痛く、悶絶しながらなんとか装着完了。これでようやく走れそうですが、腰の状態を見ながら今日はサーキットツーリングしようくらいに考えていました。
1本目
13時40分からBクラスの走行枠がスタート。今年1発目で半年ぶりのサーキット走行なので、慣熟走行から慎重に走りました。2周、3周するとタイヤも温まってきたので、スロットルを開けてスピードを上げて走ります。
昨年ライスクで2回学んだことが頭に入っているのか、以前よりも心持ちスムーズに走れているような感覚です。アドレナリンのせいもあってか腰の痛みはほとんど感じず、終始気持ちよく走ることができました。
ピットに戻ってきて、タイムを確認すると、1本目ながらベストに近い1分25秒台後半で走れているではありませんか。今日は自己ベスト更新できるかもと期待が高まります。1本目から戻ってきた後は、友人と ”タイヤウオーマーの必要性” について話をしました。これがまさかフリになるとは・・・、その時は知る由もありませんでした。
2本目
次は15時からBクラスの2本目が始まります。同じように慣熟走行を1本走り、2本目から行くぞとばかり、スロットル全開気味で走ります。
ホームストレートから1ヘア、2ヘア、3ヘアを立ち上がり、バックストレートでフル加速。続くS時コーナーをクリアして・・・、と思ったらタイヤがグリップを失い、すーっと滑っていきました。
そして気づいた時には芝生エリアに横たわっていました。一瞬の出来事だったので正直何が起こったのか分からなかったのですが、マーシャルの人から「大丈夫ですか?」と声をかけられて我に返りました。あ~自分が転倒したんだと、そして右手の親指に痛みを感じます。
マーシャルの人に手伝ってもらってバイクを起こして、そのままバイクを自分で押してコース外に出て、ピットに戻ってきました。残念ながら、半年ぶりのサーキット走行はここで強制終了。
装備品の重要性を感じる
ピットにて、まずはバイクを停めてヘルメットを脱ぎます。そしてグローブを外してみると、やはり右の親指が腫れています。
エアバックをはずして初めて、ボンベが作動している膨らんでいる事に気づきました。エアバック初卸しからサーキット走行わずか25分で動作確認(笑)。
革ツナギを確認すると、左肩から左手首まで結構ツナギが損傷しています。ヘルメットのシールド部分にも擦り傷があります。それらを見ていると、ツナギ・ヘルメット・エアバックに守ってもらったと確信しました。
大きな怪我はなさそうでしたが、左の肋骨が少し痛むのもあり、医務室に向かいました。簡単な処置をしてもらい、シートに必要事項を記入しました。
バイクと体の損傷
その後、バイクの損傷具合をチェックします。損傷しているのは、左サイド&アンダーカウルの傷と割れ、そしてバックステップ(ギアチェンジ側)がだいぶ削れています。また左ミラーの折れ、バーエンド&クラッチレバーも少し擦れています。この辺りを支点にしてバイクが滑っていったのだと推察できました。あれだけ滑っていったにも関わらず、バイクの損傷箇所が少なかったです。
バイクや革ツナギの損傷にも関わらず、身体は案外大丈夫で打撲くらいだろうと思っていました。というのも転倒直後は、アドレナリンが出ているのであまり痛みを感じません。この痛みを感じてない間に、バイクをトランポに積んでしまうことに。片付けが終わる頃、いつかはコケると思ってけど、それが今日だったのかと思うと少し落胆しました。
それと同時に、転倒はサーキットでもっと速く走れる為の肥やしだと考える、ポジティブなもう一人の自分もいました。
サーキット走行会翌日
病院へ
肋骨&右親指の痛みはありましたが、夜は眠りにつくことができました。そして一夜明け、ヘルニアのリハビリでもお世話になっている、整形外科を訪れました。レントゲン撮影の結果、肋骨第6、7部分が2本折れているとのことでした。また親指は靭帯損傷ではなく捻挫ということなので、医療用サーポーターで固定。痛み止めの湿布&飲み薬をもらって、病院を後にしました。昨 日は打撲くらいで大した事ないと考えていましたが、骨折していたとはアドレナリンって凄いなぁ(ある意味、怖いなぁ)と気づかされました。
障害保険
多くのサーキット走行会では、障害保険に入ることを義務付けています。私のように怪我をした場合、まずは走行会の運営者に相談してみて下さい。保険会社に申請をすれば、入院費・診察料・医療器具や薬などに要した費用を、いくらか負担してくれます。
初転倒を振り返る
今回の投稿では、サーキット走行の初転倒をリポートさせて頂きましたが、シュミレーションになったでしょうか?こうやってブログを書けている訳ですから、怪我が大したこと無くで良かったです。
そして転倒の原因は、寒い3月にタイヤが温まってないのにも関わらず、調子に乗ってアクセルを開けたところにあります。またタイヤウォーマーも必要だと感じました。手応えが良かっただけに、その後走れないのは残念でしたが、これを次に活かそうと思います。
それともう一つ、サーキット走行には、できればMFJ公認のヘルメット&革ツナギ、プロテクター付きのグローブ、そしてエアバックなどしっかりした装備が本当に必要だと思いました。(今シーズンよりエアバックを義務化する走行会やサーキット場もあるようです)
もちろんサーキットを走るには転けない方が良いのですが、タイムを縮めようと思って攻めるようになると、転倒する場合もあります。他のバイクが接触してくるかもしれません。もし転倒した場合はまずエンジンをOFFにして、ヘルメットを抜かずに、速やかにその場所から離れることです。バイクが動かせる状態ならバイクも安全な場所へ移動させましょう。そして、身体は転倒直後は痛くなくても、後々痛みが出てくる可能性があるので、病院で診てもらうことをオススメします。
現在は、転倒から10日経過しているので、肋骨と親指の痛みも大分和らいできました。しっかり身体とバイクを治して、また復活してサーキットを走りたいと思っています。最後までご覧いただきありがとうございました。